今日という特別な日

※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。

このところ、肩が痛くて夕方になると重くなる。仕事のせいなのか、五十肩なのか?

外はしとしと長雨が降っている。

だけど、今日は久しぶりのお休みで、前から楽しみにしていた、お菓子作りの日。

雨の中、少し気分を上げるように自分を叱咤しながら家を出た。

今日は丸ごとイチジクのロールケーキ。

紅茶味のロールケーキ生地を焼いて、生クリームを広げた上に、え!と思うくらい大きなイチジクを丸ごと4つも並べる。

そして、両側から両手でラップごと、えい!!とイチジクを生地で包んでぴっちりとラップする。

冷やして落ち着かせたケーキに、先生がデモを見せるからね、と生クリームを手際よく形よく絞っていく。

「わぁ、早い!上手ねぇ…」

誰からともなく、感嘆の声が上がる。

これが先生のお手本✨さすがです

先生はホテルでパティシエをしていた経験がある。当然なんだけど、迷いなく、思ったよりも早いスピードでクリームを絞っていくのを惚れ惚れと見ていた。自分がやる時は、迷いが出てゆっくりと絞ってしまう。

絞ったクリームにイチジクとブドウを飾って。赤い果肉とマスカットとピスタチオのグリーンが映える。

いつも、作り方だけではなくて、こんなふうにケーキ屋さんのデコレーションテクニックやセンスも教えてくれるところが、素敵なポイント。

でも、デコレーションをすると可愛いけれど高さが出てしまって、持ち帰りは難しくなってしまう。

生クリームと飾りの果物は家に持って帰ってきた。帰ってくるとなんとなくのんびりしてしまって雨は強くなっていた。

今日は実家に持っていくの、やめようかなぁ。

一瞬そう思ってしまったけれど。やっぱり持っていくことにした。だって、ロールケーキ1本を1人で食べるなんて寂しすぎるじゃないの。

雨でうっすらと白く煙る田んぼ道を走りながら、私は私の時間を生きているんだなぁと改めて思った。

団地の人々のささやかな幸せの毎日を描いたドラマの中で、子育てが終わって単身生活をしている主婦のインスタが話題になっている、というお話があった。

半額で売っていたお魚を買ってきて、今日はこれをどうやってお料理しようかなと、まず写真を撮ってからできあがったお料理の写真を載せる。それだけなんだけど、きちんと骨をとって美味しそうに盛り付けた、手作りのお料理をみんなが楽しみにしてる。

作中で、「ようやく手に入れた、私の24時間を楽しんでいます。」というメッセージが添えられていた。

私も息子が18歳で家を出たあと、2年後には娘が彼と同居し始めたので、私は半ば強制的に50歳で一人暮らしを始めることになった。娘が出て行くまでには時間が少しあったので、心の助走をしながらその日を待つことができた。

周りからは「寂しいでしょう」という声が結構かかったけど、無我夢中で楽しんでいるうちにあまり寂しいと感じたことはなかったなぁ。

今から考えると寂しさを感じないように自分を必死に守っていたようでもある。寂しさを感じてしまったら、私は立っていられるだろうか。そんな不安が心の底にあったと思う。

でも2年経った今はご飯の支度を適度に手抜きしながら、この歳で初めての一人暮らしを楽しむ余裕が出てきたと思う。

思えば26歳でお母さんになってから子供たちが巣立っていくまで、私は「お母さんの生活」をしていた。

今みたいに、少し時間ができれば、この時間がもったいないなぁとか、ここに行ってみたいなぁとか考えたことがなかった。

別に後悔しているわけじゃなくて、それが当たり前で、子供たちのお母さんでいることが私の誇りでもあった。だから、子どもたちが思ったより早く独立してくれたことは、私にとって良い変化だったんだなぁと思う。

子供たちがずっとそばにいたら、私はずっと「お母さんの生活」をしていたと思う。こんな違った時間の使い方を考えることなどなかっただろう。

生活の変化って自分で選べることもあるけど、こうやって周りの人の事情から変わっていくこともあるんだなぁ。

確かに、生活が変わることって少しストレスを感じるし、エネルギーも使う。

生活の基盤はできるだけ変化がない方が楽だけど、それでも新しいことに挑戦したり、行きたい方向に向かって努力することを忘れないようにしたい。

きっかけは様々だけど、少しずつ変化していく毎日。その波にうまく乗れるように、楽しくやっていけたらいいな。

いつも通り、作ったお菓子を持って実家へ行ったら、姪っ子が来ていました。

弟たちの分はないから、内緒で食べちゃおうよ!と小さな秘密のお茶会をしました。

ありふれた、ささやかなお茶会かもしれないけれど、こんなふうに手作りのお菓子を囲む今日という日は、やっぱり特別な日、なのです。

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