※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。
息子の彼女ちゃんと再会を約束して別れてから、息子と2人、しばし海までドライブ。
「お母さん、高速乗るからね。」
「え、高速??じゃ、お金出しておかないと。」
「無料だから。」
え!!そうなの!
再び、なんて国だ…
「高速道路、なんだけど1車線の対向なんだ。怖いよね。
朝はね、渋滞するよ、やっぱりこっちは車社会だからね。」
それなりにスピードを出さないといけないけど、カーブしてるのが少し怖かった。
山が眼前に迫っている。
「山が多いよね。なんかさ、4年もこっちにいると、帰ってきたなー!って気がする。」
「そうだろうね、いいね、第二の故郷ができたんだね。」
「うん、関東に帰ってもまた来たいな、って思うかもしれない。進学するやつ、結構いるし。」
「ふふ、そうだね、私も帰ってきたって思うくらいだから…いいところだよね。」
君がここに進学しなかったら、来なかったかもしれない。ありがとね。
しばらく、親子の会話が続いた。

桂浜。
水平線が丸くなっている。太陽の光を受けてキラキラと輝いて、エメラルドグリーンの海水が何層にも分かれている。
砂浜には、白い波が打ち寄せている。
わあ!大きい!
この海の向こうに行ってみたい、何があるんだろう、って思うよねえ、ここに生まれたら。
飛行機に乗っている時、龍馬なら乗りたいと言うだろう、と思った話をしたら、
「信長もね。きっと、自分専用の飛行機を買うだろうね。」
「そうだね、きっと飛行部隊を作って、制空権を取りに行くね!」などしばらく空想の話で盛り上がった。
今日は10月なのに、季節外れの真夏日。
潮風に吹かれて、しばらく2人で海を見ていた。
「綺麗だよね、全然違うよね。」
息子の言葉に、先日NHKで見た、宍道湖を守った人々の話を思い出した。
一度壊してしまった自然は元には戻らないのだ…
この美しさは当たり前じゃないんだ、そう思った。
時々、パラパラとお天気雨が降った。
「お母さん、仁淀川見たい?」
「うん!見たいよ!」
仁淀川の河口付近に大きな橋がかかっている。
降りてみよう、と息子が言うのでついていくと、大きなテトラポッドがうず高く積み上げられていた。
「こんな積み上げちゃって、退かすの大変だよねぇ。」
「かなり古いやつだね、もう、どかすつもり、ないんじゃない?」
海の波が時々、河口の砂の山を越えてくる。
水際まで行って、ばっと身軽に石の上を渡って、しゃがみ、じっと奥を見ている。
「蟹だ!でかい蟹がいるよ!つがいかな。巣を壊しちゃうと、かわいそうだからそっと見て。」
せっせと草や枝を運んで作った巣を壊して捕まえて見せないところが、息子らしい。
「あぁ、本当だね。」
ゆるゆると散歩していると、小さな赤い蟹がちょこちょこと横歩きしている。
「さっきのと違う種類の蟹だね、あ、お母さん、いっぱいいるよ、ほら。家族だね。」

人間が持ち込んだテトラポッドを、蟹たちはうまく利用して棲家にしている。
私たちに覗き込まれて、ちょっと警戒しながら、ハサミで器用に何かを掴んでは口に運んでいる姿がかわいらしい。
「本当に、素晴らしいところだね。」

夕方、今日の特急あしずりで私は四万十川に向かう。
「今日はありがとう、観光名所を巡る!って感じじゃなくて、こんなふうに地元のいいところを見ることができて、楽しかったよ。」
「そう?😊それなら、良かった。」
「気をつけてね。」
息子と別れて、19時の特急あしずりに乗り込んだ。外は真っ暗、車窓は明日のお楽しみか。
21時。終点、中村駅に到着。
人々は、足早に去っていき、気がついたら駅前にひとり。
ホテルまで1人で歩く。
誰もいない夜の歩道、ごろごろとスーツケースを転がす音が響いている。
え、まだ21時なんだけどな…
こんな遠いところまで、1人で来てしまって、暗い夜道を歩いているなんて、私はいったい、何をしてるんだろう?
という気持ちになった。
明日になれば、この不安な気持ちも変わるだろう、そんなことを考えながら夜空を見上げた。
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