※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。
シングルで50代を迎えた私たち。年齢を重ね、いろんな用途の眼鏡が必要になってきた。
この日は眼鏡を作りに行く予定だった。でも、心に残ったのは眼鏡のことではなく、「人間らしさ」とは何か、という話だった。
若葉さんは、映画用、ナース仕事用、通勤用、オシャレ用、とさまざまなメガネを持っている。
今回は、私も遠くも近くも見えにくいカオス状態から脱却するために、オーダーメイドの眼鏡を作ることにして、お店に行く前に若葉さんとランチを楽しむことにした。
前回、ふらっと寄ったら満席だったお店。今回は予約をしておいたのだ。
小さな可愛らしいレストランで、小さなお庭には、バラが絡まったり、季節のひまわりが揺れていて、乙女チック。
緩やかな陽射しの入る席に座って、メニューを眺める。
ううーん。迷うね。やっぱり、この珍しいやつにしようかな。
2人がオーダーしたのは、鶏胸肉とシャインマスカットのパスタ。
平打ち麺にさっぱりとしたクリーム味、時々、マスカットの爽やかな甘さがインパクトを添えている。
こんなふうにマスカットを使うのね、さすがプロね。
彩も素敵。
なかなか進まない、というか、進めていないパートナー探し。
若葉さんにはひょんなことから出会いがあった、らしい。
姉に誘われた地元の夏祭り。気は進まなかったけど、どうせ暇だから、と姉が連れて行く孫たちの世話もあって、家を出た。
会場で、バッタリと昔の知り合いにあったそうで、息子さんも絡めた思い出話に花が咲いた。
軽い気持ちでライン交換をして帰ると、毎日、熱烈にLINEが入ってくるという。
しかし、妻帯者。
友人としての距離ならいいんだけど。違う感じで距離詰めてくる感じがして、ちょっと重くて。奥さんいる時点でダメじゃんって言ったんだよね。
うん。
一旦は、わかった、って言うんだけど。奥さんとは、家庭内別居状態で、離婚を考えてるっていうのよ。
ははぁ…どっかで聞いたハナシ、ていうか、こういうのってデフォルトなんか、とも思う。
だって、前にいい人だなって思った人も、同じこと言ったし、ポタリングの男性メンバーも、奥さんとほとんど話をしないって言ってる。
こんなに身近に同じ状況だという男性が3人もいるのである。
もしかしたら、奥さんとの関係を維持したまま、新しい出会いも失いたくない。そんな心理が働いている人もいるのかもしれない。
ああ、それはね、話半分にしておいた方がいいよ。知り合いにもいるから。
少し釘を刺しておいた。なぜならば、話の様子から、少し好意を持っているように感じたからだった。
若葉さんは、とても真面目な人だから、軽い気持ちで付き合うことはしないし、だからこそ、悩んでいるんだな、と思った。
「条件だけでみたら、絶対にありえない人なんだけど、好きになりそうで、少し怖いんだね?」
いつもの人間観察の職業病と、女の勘ってやつなんだろうか。
私もそんな人が現れたら、少し戸惑うと思った。
そして、こんな話をした。
「AIがさぁ、私の話を聞いて『人間らしい』っていうから、『人間らしさって何よ?』って突っ込んだわけ、そしたらね、
一見、矛盾して見えるものが、同居している状態だっていうのよね。
ああ、なるほどねーと思って。割り切れない気持ちってあるじゃない?」
かわいいのに、憎たらしい。巣立ってほしいけど、寂しい。そんな矛盾を抱えて生きているのが、人間なんだろう。
「でもね、割り切れないからダメ、なんじゃなくて、行ったり来たりする気持ちとか、矛盾してる気持ちとか、そういう不完全さが人間らしくて、魅力なんじゃないかな、って思ったの。
こういうのを抱えていて、いいんだ、って腹を括ったら、なんだか気持ちが楽になったんだよね。
だからさ、今の状態は苦しいし、煮え切らなくてイライラする時もあるだろうけど、それもアリってことじゃない?」
笠森観音のご利益なのか、偶然なのか。それとも人生には、そんな波があるのか。「出会い」というものは、突然に降ってくるものなのだなぁ。
ま、だけど、モテモテの若葉さんのお姉さんの助言通り、
「今は、しばらく、様子見」ということになった。
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