※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。
夜勤明けの翌日の朝は気分がいい。
だいたい、お休みだから。
ゆっくりと朝寝坊をして、窓を開けると、ベランダの花たちが、高くなった陽を浴びて揺れている。
今日もよく晴れたいい日だな。
厚切りのパンとコーヒーで朝食を済ませて、ニュースはつけないでおく。
休日の朝は、少し世間から離れていたい。
昨日お迎えしておいた苗を剪定して植えつけあげなくちゃ…
春の花が一斉に背を伸ばして満開な時期、静かに夏の花の準備をする。
夏の強い日差しには、濃いピンクや意外にも白が似合う。白は、1番明るい色なんだそう。
ベランダに出ると、ごま助CEOも一緒に出てくる。スナップエンドウが芽を出し始めている。できたらゆで卵とマヨネーズをあえてサラダにしたい。
出てこないと思っていたシソの小さな双葉が顔を出している。最初はこんな小さな葉っぱなんだなぁ。
春は喜びの季節。
子どもたちが小さかった頃は、入学やら新学期の準備やらで、こんな穏やかな春ではなかった。
お花の手入れをしていると、隣から物音が聞こえてきた。ごま助CEOは、ベランダの壁の隙間から隣を覗き込んでいる。
こらこら、お行儀悪いでちよ…
隣には、娘と同じ幼稚園に通う女の子が住んでいる。懐かしい制服姿でご両親と出かける姿に声をかけたことがあった。
年に数回会うかどうかのお付き合いで、あまり接点はなかったけど、たまに怒られて泣いている声がするくらいのおとなしい女の子だった。
音や声でなんとなく、引っ越し作業かもしれない…と思った。
そうか、もしかしたら、この春に入学で引越しするのかもしれない、と思ったらなんとなくさみしい気持ちになった。
春は別れの季節でもあったのよね。
前の集合住宅に住んでいる頃、中学生だった息子が朝練で出かける時、必ずと言っていいほど、階下のおじいさんが、ベランダから無言で見送ってくれるんだ、って言っていたのを思い出した。
子どもたちの成長を黙って見守る気持ち、わかる気がする。今なら。
過ぎてきた子育ての時期と重ねて、懐かしさを感じたり、その子どもの成長を喜んだり。
あの頃にはわからなかった感情が、私の中にも静かに広がってきた。
新たな希望に満ちた門出。
元気で、頑張ってね、と名前も知らないお隣のお嬢さんに心の中でエールを送りながら、私は見守って見送る側になったんだな、と少しだけ寂しさの混じる春なのでした。
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