※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。
たまたまXに流れてきた松濤美術館の展示会。
私は、ここに行ったことがなかったけれど、「中央アジアの手仕事、華麗なる刺繍とジュエリー」という表題が刺さった。閉会が迫っていることを知り、思い切ってK3スカーレットと家を出ました。
都内の1人ポタリングは初めて。
去年、友達と久しぶりに渋谷駅に降りて、すでに相当のカルチャーショックは受けている。学生時代の渋谷とは全く違う顔になっていて、唖然としたものだ。
人混みを避けたつもりが、結局、地下鉄から地上に上がったら、大通りの前だった。
それにしても、国際色豊かな街だ、自国の駅だというのに、緊張してしまう。
走り出したと思ったら、案の定、逆方向。
この方向音痴は本当に不便。ナビの地図も読み間違える。

なんだかんだ、間違え、立ち止まり、確認を繰り返して、坂道の路地に建つ、松濤美術館を発見した。
渋谷駅前の喧騒が嘘のように、静かな住宅街に佇んでいる。
薄茶色のレンガの外壁は、西洋を思わせるのに、丸くカーブを描いた屋根がついていて、下から見上げると、お寺によくある五重塔みたいに細い木材が放射状についている。
大きな壁みたいで、窓はないから、中は窺い知ることができない。
不思議な建物だなぁー。
しきりに写真を撮っている人がいる。
後でわかったことだが、この建物は白井晟一さんという有名な建築家の作品なのだそうだ。
入ってみると、正面に丸い窓があって、もみじの木が品よく収まっている。薄暗いロビーに一際目立つ、丸い窓はそのまま作品のようだ。
地下一階から展示室に入る。
美術館の中に入ると、丸い回廊になっていて、中央に噴水が見える。
外側は窓がない代わりに、内側には天からの自然光が入るようになっているという心憎い設計。
展示室は、一転、薄暗い。
中央アジアは、私にとって未知なる世界。
まず初めに、大きな世界地図が展示されている。
中国の西端、長安の都から分岐してローマへ至るシルクロード。
ここは、古代から様々な民族が行き交い、文化が形成されてきた舞台。
馬と共に、草原を駆け巡った遊牧民が多いトルクメン人やオアシス都市に暮らしたウズベク人たちの、美しく、艶やかで、自由な色彩やデザインの数々・・・。
銀と赤い石(カーネリアン)、トルコ石などを効果的に使った、耳飾りや指輪。

驚いたのは、背中に飾るお守り。とても繊細で美しいのに、普段は、上着の中に隠れて見えないのだとか。
見えないところにも気を遣うなんて、おしゃれだなぁ。
90年代の若い女性が身につけた姿の写真が一緒に展示されていて、イメージが湧いてとても楽しかった。
民族衣装をつけた男女が楽しそうに馬車に乗っているお人形が、ガラスケースに入っている。
馬の顔がなんとも滑稽で、日本や中国にはない明るさがある。
人々も自由な動作で、笛を吹いている人もいる。
今にも動き出しそうな人々。開放的な雰囲気が伝わってきた。
続いて、2階。
階段には絨毯が敷かれていて、螺旋状になっているのもおしゃれ。
2階には、布や衣装が飾られていた。

絨毯くらい大きな布に、細い絹糸を使って、繊細な刺繍を施した「スザニ」と呼ばれるもの。これは、お嫁に行くときに何枚も持っていくものなのだそう。その時のために、時間をかけて丁寧に作っていく。
その気の遠くなるほどの時間を想像した。すごい・・・。
主に植物のモチーフが多いのは、イスラム教の影響があるという。
赤の多い明るい色彩の衣装を纏って、冠や胸飾りをつけた女の子たちの写真。楽しそうに踊る若い女の子。
一時期、伝統が薄れた時代もあったものの、今ではその技法を保存して受け継がれているとのこと。
それぞれの民族が、環境や宗教、文化の交流によって、紡ぎ上げてきた「違い」をいつまでも大切に尊重しあっていけたら、と思った。
美術館にしては珍しく、最後の展示室では写真撮影が許可されていた。
小さな物入れや、帽子に至るまで、どれも手が込んでいて、一朝一夕では作れないものばかり。
大量生産にはない、手作りの良さが光っていた。

とても、良い時間を過ごさせてもらって感謝、感謝・・・。
この後、お茶でもと思ったけれど、都会の交通量の多さや道に迷ったこともあり、どっと疲れが出てしまって、早々に電車に乗り込み、うつらうつら。
帰ってきたよーぉ。明るいうちに帰ってきた母ちゃんを見て、ごま助もビックリ。
ゆっくりと自宅コーヒーを味わった休日でした。

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