温かな優しい世界|精神科の作業療法室で見つける一人ひとりの力

※この記事では、看護の現場で出会った人や言葉を、窓辺で思い出すように綴ります。【癒しの窓辺シリーズ】

精神科には、10代後半から20代の若い患者さんも少なくない。

コミュニケーションが苦手で、学校や職場に馴染めない、ついていけないなどが重なって、自信を失って、消えてしまいたいとまで、思い詰めてしまう人もいる。

そんな子たちが、入院に慣れて、作業療法に参加する姿を見ると、感慨深い。

何もできない、と落ち込んでいた人も、ゆっくりとスタッフからやり方を教えてもらって、編み物やレジンやビーズのアクセサリーを、一生懸命作っている。

それも、精巧で売り物にできるくらいの完成度の物もある。

「すごいじゃない、いいね。」

と声をかけると、ニコ!っと素敵な笑顔で返してくれる。

現代社会は、いろんな情報が飛び交って、仕事の速度も増している。

昔は一泊した出張も、今は日帰りだし、見積もりだって、パソコンで一瞬で送れる。こういう、生き馬の目を抜くような社会で、便利を享受する一方で、ついていけなくて泣いている人もいる。

だけど、何もできないわけじゃない。

もっとゆっくり時間が流れる場所で、よく考えながら作業を進めることができれば、こんなに素晴らしい作品を作ることができる。

そこに自分の可能性を見つけて、自分をもっと好きになれたら、と私は患者さんの真剣な眼差しを見つめながら、思っている。

必要のない人なんて、いないんだよ。

何もできない人なんて、いないんだよ。

ここは、少し傷ついてしまった心を癒すところ。そして、自分の価値を再発見できるところ。

適応障害以外にも、いろんな精神疾患を抱えている方が参加している。

認知症の方も、昔やっていた編み物をせっせと落ち着いてやっていて、

すごいなぁ、と思う。そういう時は、とても穏やかで、優しい顔をしている。

私が個人的に好きなのは、お習字の時間。

子供の頃の習字といえば、静かに墨を擦って、お手本通りに黙って真剣に書く、緊張する授業だった。

だけど、ここは自由。

患者さんが好きな言葉を好きなように書いて、傑作は壁に貼り出してある。

自由に好きなことを喋ったり、やりたくない人は塗り絵とか違うことをやっている。

作品も吹き出したくなるもの、そう来たかーと感心するもの、そうだよね、とうなづけるもの…いろいろある。

例えば、早春の風、と大書してある横には、禁煙無理、ドロップキック、チョコレートパフェ、退院したい!米、米、米、など笑

その時の書きたい言葉を、自己流でもなんでも、バランスなんかお構いなしに書くから、下の方が小さくなったりして、それはもう微笑ましい。

私は密かに、今日の大賞はどれにしようかな…と選ぶのを楽しみにしている。

自由で、一人ひとりが認められる、優しい世界。

ここは、私の大好きな作業療法室。

🌸このブログについて
私のブログでは、子育て卒業後の”自分らしい毎日”をテーマに、看護・家族・猫・ポタリングなど、日々の小さな挑戦と気づきを綴っています。

ぜひ、ほっと一息つきながらご覧になってくださいね。☕️🐾

🌱癒しの窓辺シリーズ

忙しい日々の中で、ふと立ち止まる窓辺の時間。病院で出会った人たち、看護の現場で感じたこと、心に残った言葉。

そんな出来事を、窓辺で静かに思い出すように綴っています。

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