人間臭い大日如来|母の誕生日に寄せて

※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。

母は、いつだって我が家の太陽。母の前に出れば、ビカァー!と光線が出て、悪いことがじゅわー!と跡形もなく溶けて消えちゃう感じがする。

先日、家族で日光に行った時、母の守り仏が「大日如来」だとわかって、妙に納得した。
🌱この日の日光のお話はこちら→三世代で日光の休日を楽しむ①私はすっかり「娘」に戻った

私は心配性なので、お母さん、どうしよう、と相談すると、だいたい、

「あいちゃんは考えすぎなのよー!大丈夫よー!」

と笑い飛ばしてくれる。そうすると、そうだな、という気持ちになるのが不思議。

母はいつだって、自分に正直な永遠の少女

思ったことを忖度なく口にすることが多いから、周りが唖然とすることがある。

いつだったか、遠い母の誕生日の記憶。

プレゼントなど、滅多に買ってくることのない父が、突然母の誕生日に花束とケーキを買って帰ってきたことがあった。

母の誕生日はお彼岸に近いので、店先にお仏壇用の花束があったのだろう、買ってきたのは、まさに大きな菊の花が入ったあれであった。

んん!?

と私は思ったけれど、黙っていた。すると、すかさず母が、

「お父さん!これ、仏壇用の花じゃないの!」

と言ったので、あ!お母さん!!と急いで母の顔を見た。母は察したのか、

「だって、私だったからいいけど、他の人にこれをあげたら大変じゃないの、だから言ったのよ。」

母には母なりの「論理」があるらしいのだが。父は、怒るでもなく、

あ、そうだった?きれいだったからさ。と答えていた。

さらに、小さなケーキがたくさん入った箱を開いて覗き込み、

「食べたいもの、ない。あいちゃん、選んでいいよ。」

え!ええ!!

一瞬で凍りついて、弟と顔を見合わせた。なくたって、どれか選んでよ!お父さんが珍しくお母さんのために買ってきたのに。ああ、どうしよう。その場を取り繕う言葉が出てこなかった。

だけど、焦っていたのは私だけのようだった。

「そうだった?」

父はまたしても怒ってないし、落ち込んでもいなかった。そして、母は自分の好みの話をしている。

どうなってるの…

バブリーてるこ

若い頃、デパートガールだった母。当時は誰もが車を所有している時代ではなかった。

ある日、知り合いの男性が

「今日、車で来てるんだ。一緒に帰らない?」

と誘ってくれた。母は車が大好きだったので、二つ返事で約束をして、なんと、友達に声をかけて、

今日、車で送ってくれるんだって、一緒に乗って行こうよ!と連れて行ったというのだ。

「ええ!お母さん、それはないよ。かわいそうじゃないの。」

「だって、車で帰れるんだ、ラッキーって思ったのよ、友達も同じ方向だからさ。」

あのねぇ。

「そしたら、その人、友達が帰った後にさ、『今度は2人で、がいいな』って言ったのよー」

と笑い飛ばしていた。この話を聞いてのけぞった弟は、以来「バブリーてるこ」と陰で呼んでいる。

「俺はムリ、お袋みたいな女の子、絶対ムリ。親父はすごいなぁ」と言っていた。

そして、お父さんを選んだ理由も、「お父さん、車持ってたのよねー!」と。

それだけが決め手のような言い方をする。父は黙っている。

こうしてみると、母は「わがままな人」のように見えるけれど、人一倍、面倒見が良くて、親切で、温かい人でもある。

そんな「てるこさん」には友達がいっぱいいて、いつも彼女の周りは明るい光がある。

中学生の時に、父に、もう一度お母さんと結婚したいと思う?と聞いたことがある。

「そうだなあ…お父さんは、やっぱり、お母さんと結婚したいな。」

お酒は入っていたけれど、本音なんだと思った。そして、中学生だった私は、素直にいいなぁと思った。

今日はお母さんの誕生日。お気に召すかわからないけど、ケーキを選んで会いに行こうと思っている。

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