生きていくチカラ

※この記事では、看護の現場で出会った人や言葉を、窓辺で思い出すように綴ります。【癒しの窓辺シリーズ】

午前中、担当の患者さんと外出している間に、病棟で大騒動があった、と聞いた。

「まーったくもう、大変だったんだから〜!」と言う人たちの隣で、グッタリとしているナースのNさん。

Nさんはいつもは明るい人だから、その変わりぶりにびっくり。

「ごめんね、帰るね。」

Nさんは早退した。

「どうしたんですか…?」

周りのナースに何があったのか、聞いた。

長い入院生活を送る若い患者さん。いつもキャピキャピしているかと思うと、どかーんと暴れたりする。

背景には、家庭で満たされなかった思いもあるのだろう。

病状によるものなのか、育ってきた環境によるものなのか、あるいは安心できる場所だからこその反応なのか。簡単には言い切れない。

彼女のベッド周りはいつも嫌というほどに散らかっている。

今日はシーツ交換の日。

足元まで私物で覆われている。ヘタに移動させて壊したら困るし、第一、片付けるのは本人にやらせないと、と、替えのシーツを置いて、他のベッドに取り掛かった。

そこへ、彼女が帰ってきた。

先ほどのNさんが、ベッドサイドを片付けてくれないと、シーツ交換できないから、お願いね、くらいの調子で注意をした。

昼食後、 突然大きく感情が爆発して大騒ぎになってしまった。

Nさんは、あまりの興奮ぶりにびっくりしたのと、体調が元々優れなかったのもあり、疲弊してしまった。

少し興奮がおさまってから話を聞けば、

見捨てられたと思った。と…

最近、この子の環境が変化したのもストレスだったのかもしれない。

だが。

その場にいたら、私はどうしていただろう?と考えた。

他にも、長い入院生活の中で、受け入れられているという安心感から、相手に感情をぶつけてしまう関係になっていた可能性、一緒に片付ける介入をなぜしているのか、について、十分理解できていなかった可能性、いろいろ考えられることはある。

に、しても。

私は、ダメなものはダメだ、と教えるべきだと思った。

しかし、時間が経ち過ぎていた。

もう夕飯時になっている。

ふつふつといろんなことを考えながら、配膳車の前に立っていた。

バツが悪そうな顔で隣に来て、

ごめぇーん。

と言う。

そんな簡単な言葉で取り消せるような騒ぎではなかったし、その場にいなかった私に謝るの?と思った。

その場にいなかったナースだからこそ、話しかけやすかったのかもしれない。

「聞いたよ。納得できないことがあるなら、お口があるんだから言葉で伝えなくちゃダメでしょ。」

少し簡単な言葉にして、コミュニケーションエラーが生じて自分の気持ちが揺らいだ時、暴れたり、大声を出すという方法ではなく、対話という方法をとってほしい、ということを伝えたつもりだった。

「はぁーい。」

全部伝えられるとは思っていない。だけど、少し疲労感を覚えた。

こんな日もある。

プロであっても、私も人間だ。

指導しなくちゃいけない場面でも、疲れたり、がっかりしたり、先が見えなくなる日もある。

そういう時は、少し、患者さんと距離を取ることを自分に許して癒していく。

どんな背景がある子でも、社会の中で対話を重ねながら人と関わっていく「生きていくチカラ」を身につけてほしいと願っている。

それが、自分自身を救うことになると思っているから。

🌸このブログについて
私のブログでは、子育て卒業後の”自分らしい毎日”をテーマに、看護・家族・猫・ポタリングなど、日々の小さな挑戦と気づきを綴っています。

ぜひ、ほっと一息つきながらご覧になってくださいね。☕️🐾

🌱癒しの窓辺シリーズ

忙しい日々の中で、ふと立ち止まる窓辺の時間。病院で出会った人たち、看護の現場で感じたこと、心に残った言葉。

そんな出来事を、窓辺で静かに思い出すように綴っています。

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