※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。
先日、友人からこんな話を聞いた。
中学3年生の孫から、LINEで「お母さんには内緒にしてほしいんだけど」と前置きがあってから、進路の相談があった。
彼女は思うことを一生懸命考えて、それをAIに整えてもらったものを送信した。
孫から返ってきた一言。
「チャッピーじゃん。」
ええ!それは事件じゃないの。と私は思ったけど、
友人は「どうしてわかっちゃったのかなー、怖くない?」
と私とは違う視点で驚いていた。
彼女は、お孫さんが相談してくれたのが嬉しくて、間違えたらいけないと慎重になったあまり、AIに自分の言葉を整えてもらったのだろう。
でも…
「きっと、いつものおばあちゃんらしくない言葉とか、トーンがあったんだろうね。私も、文章を書いていて、こちらの方がわかりやすいです、ってA Iに指摘されることはあるけど、美しすぎて自分の言葉じゃないよ、って思うことあるよ。」
そう答えながら、そのお孫さんの気持ちを考えた。
お母さんに内緒ってことは、反対されるかもしれないとか、心配させてしまうかもしれない、って思っていたのかな。
先生やお母さんといった、近くて少し緊張する相手ではなく、おばあちゃんを選んだところに何か、理由があるように感じた。
きっと、答えを求めているんじゃなくて、おばあちゃんに自分の気持ちを話して整理してから、お母さんと話し合いたいと思っていたのかもしれない。と思った。
友人は驚きながらも、
「間違っちゃいけないと思って、AIに相談してから送ったの、ごめんね。」
と返信したとのことでした。
「チャッピーじゃん」
という言葉だけでは、がっかりしたのか、笑っているのか、わからなかったけど…2人のそれまでの関係を信じるしかない。
とても不思議なことだけど、表情は見えなくてもその言葉に温度が乗ることがある。その人らしさ、とでも言おうか。
時に、言い回しが文法上間違っているときや、わかりにくい表現があるかもしれない。
でも、相手のことを心から考えて、紡ぎ出した言葉は、きっと相手に届いて、心を温めてくれる。そういうものだと私は信じている。
詳細な相談内容はわからないけど、試しにAIに言葉を考えてもらった。
”受験は人生を左右する大きな出来事だから、不安になるのは当然だよね。…”
一見、美しくまとまっていて、最後には、おばあちゃんとして孫を気遣う言葉も含まれている。
だけど、周りの人と相談してよく考えて、というアドバイスは、一般的で、間違ってないけど、「それはわかってるんだよ」って思ってしまう。
なるほど、こういうことか。妙に納得。
私たちの行っている精神看護も、一応教科書はある。
でも、患者さんはひとりひとり違うし、私たちも違う人間。
私という人間が、その人のことを理解したいと願いながら、つたない言葉を繋ぎ合わせてかける言葉に、私は意味があると信じて看護をしている。
そこには、言葉だけではなくて、信じる心、思いやりの心、いろんな感情があるし、相手との間とか、表情、言葉のトーン、様々に混ざり合って、無限に意味を持つ。
それをどう受け取るかも相手の自由。
たとえ、求めていた言葉じゃなかったとしても、自分を想って紡いでくれた言葉なんだ、ということは伝わるのではないだろうか。
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この「AIと生きる」は、精神科ナースとして、そして一人の生活者として、AIとの距離感について考え続けたシリーズです。
▶ AIと生きる|精神科ナースが考えたこと【シリーズまとめ】
この記事では、全6話を順番に読めるようにまとめています。
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