ひとをみる

※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。

新人看護師の頃、先輩に

「あなた、患者さんに興味ないでしょ!」

と叱られたことがある。

そんなふうに言われたこと自体がショックで、

どういうことかもわからず、

「え、持っています。」

と答えたけれど、先輩はわかってない、という顔をしていた。

当時、たくさんの患者さんを受け持って、1人ずつバイタル測定、点滴交換と調節、記録、とこなすのが精一杯で、表情も引き攣っていた。

こんなに一生懸命、見ようとしているのに、何が足りないんだろう…不真面目ってことなんだろうか…

答えは出なかった。

夏休み後半となった今日。

朝のニュースでは、子どもたちの痛ましい自殺がここ数年増えていて、時期は夏休み明けが多いと報道されていた。

専門家が、この時期、おとなしい子が明るくなったり、その逆だったり、眠れているか、食事は取れているか、減ってないか、逆に食べすぎてないか、お子さんをよく見てください。

と注意喚起していた。

確かに、食事、睡眠状況は、私たちナースのチェック項目だし、変化が現れやすい。

だけど、お母さんとして、見ていればわかるじゃないの…子どもに関心がないんじゃないの…

と思って、ハッとした。

見ていれば、わかる。とは? どういうことなんだろう。

患者さんをみる、子どもをみる、対象は違うけれど、ナースも親も、人をみるという点で共通している。

新人ナースの頃の自分を思い浮かべてみると、疾患の理解、注意しなければならない副作用や症状の有無、検査データ値、などのチェック項目を通して、患者さんをみようとしていた。それは、間違いではないけれど、そこには「唯一無二のその人」が不在なのだ。

いくら、データや症状を並べても、だから何?という感じで、その人に何をすればいいのか、全然わからなかった。

その人を取り巻くもの、例えば年齢、家族、仕事、今までの人生、大切にしている人やもの、考え方など

そういう目に見えない、その人を形作っている大切なものを、関心を持って見つめているか、わかろうとしているか?

そこから、その人に何をするべきか、つまり看護が見えてくる。

先輩はそう言いたかったのかもしれない。

もちろん、看護と子育てはイコールではない。成長期の子は、自分の内側を見せたがらない傾向にある。

見えなくなると不安になるものだけど、そこでチェックリストに当てはめてみても、私のように迷路にはまるだけだと思う。

思い返してみると、

そんな時、私は、「なんか、いつもと違うね、何かあったの?」と軽く声をかけていたような気がする。

聞きたいことが返ってこない日もある。

でも、それでいい。あなたのことを少し、気にかけている人がいるよ、というメッセージが伝わっていると信じているから。

そのタネが、忘れた頃にふっと芽を出して、相談してみようかな…と思うきっかけになったらいい。

私はそう思っている。

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