※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。
父には7歳年上の兄がいる。私にとって伯父さんに当たる。
目と鼻の先に住んでいて、伯父さんは「本家」と呼ばれていて、父たちの生家を継いでいる。
広い畑を持っていて、80代後半になっているのに、その畑を管理しようと頑張ってきた。
この頃は、病気がちで体力も落ちてきたので、管理が難しくなってきた。たまに、父は歩いて行って、手伝いをしている。
昔は、「長男が家を継ぐもの」という考え方が当たり前だった。
祖母もその価値観の中で長男を特別に育て、父たち兄弟も「兄には従うもの」として育ってきた。
これまで、2人は兄と弟という絶対的な関係で、どんなことでも
「兄貴の言うことだから。」
の一言で引き受けてしまうから、母は文句を言っている場面もある。
具合の悪い時に呼び出されるのも、入院するときや退院するときの付き添いも、いつも父に連絡が来ていた。
そして、不思議なことに、2人の娘には連絡をしない。
「嫁に出した娘は、もう、よその人。」という昔ながらの考え方と、娘に心配をかけたくないから、なんとかしたい、という気持ちらしい。
先日、母から
「お父さんは何も言わないけど、毎回夜でも電話かかってきて、年齢も上がってきてるし、最近はちょっと負担なのよ。」
と相談された。
田舎では特に、自分の家の問題を恥として、他者に見せたくない傾向があるように思う。
しかし、意地を張るのも限界がある。共倒れしてしまっては元も子もない。
私は地域包括センターに姪として連絡を入れて、伯父の考え方を説明した上で、自分の両親も気持ちはあるが、体力的に限界になってきていることを伝えた。
センターは伯父夫婦を把握していたが、娘さんに連絡を取りたがらない事情については知らなかったようだ。
家族でこれからのことを話す機会を設けてくれることになった。
このことを母に伝えると、安心したようだった。しかし、母から父にこの話が伝わると、父は黙り込んで悩んでいるようだと母から連絡があった。
「お兄さんに、迷惑がられているって思われたかもしれない、って悩んじゃってるのよ。」
父に電話を代わってもらった。
「俺たちに残された時間は、もう少ないってことは、わかっているんだよ…だから、兄貴の好きなようにさせてやりたいと思ってるんだよ…」
絞り出すように、父が言った。
私はこの反応を予想はしていたけれど、切ない兄弟愛を傷つけてしまったのではないかと思ったら、申し訳ない気持ちでいっぱいになって涙が出てしまった。
お父さん。ごめんね、私は余計なことをしたかもしれない。お父さんの気持ちはわかっているよ。でもね、
みんなが心配しているし、娘さんがこの状態を知らないっていうのは、よくないと思う。
私が娘の立場だったら、悲しいと思う…
数日後、訪問看護師の方から連絡があって、娘さんを呼んで話し合いが行われることになった、と伝えてくれた。
行動したことに後悔はしていないけれど、父の気持ちを少し傷つけてしまったことは、今でも悪かったかな、と思っている。
ただ、理想通りにはいかないのも現実で、それは父もわかっていると思う。
家族だけでは支えきれないときがある。
相変わらず、父は自分のペースでお兄さんの様子を見に行ったり、畑を手伝ったりしながら、見守り続けている。
地域の見守りの目が加わったからといって、2人の関係は変わらない。
安心が増えただけなんだよ。
私は、そう信じている。
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