瓢箪から駒|植えた覚えのないカボチャ

※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。

父は家庭菜園が趣味で、私たちから「令和の花咲爺さん」と呼ばれている。

畑というものは、案外お金がかかる。

畑の土を改良するために、肥料や石灰、腐葉土などを漉き込んで、ふかふかの土を作る。

父は少しでも節約をしようと、畑に穴を掘って腐葉土作りに挑戦し始めた。

母も、

「生ゴミを捨てる穴ができた」

と喜んで、せっせと入れていたのだった。

「ねぇ、ちょっとあいちゃん、これ見てよ」

母が立派なカボチャを出してきた。

「あら、立派なカボチャだね。作ったの?」

「それがね、お父さん、カボチャを植えた覚えがないっていうのよね」

え?

それでも、大きなカボチャが実っていたからと、母は収穫してきて煮物にしようとしているのだった。

どゆことなの??

父が笑って言った。

「お母さんが生ゴミを捨ててたでしょ。そこから芽が出てきたんだな」

え!

「なんだかさぁ、ゴミからできたカボチャって思うと、複雑だけどさぁ」

と言いながら、母は台所に立っている。

瓢箪から駒、ってこういうことを言うのか。

さらに、思わぬ副産物があった。

当時、小学生だった息子は、大の虫好きであった。

「近所の梨畑の網に、カブトムシがくっついているんだ。だけど、早く行かないと死んじゃうから難しいんだ」

などと喋っていた。

すると父が、

「それなら、りゅうちゃん。畑の腐葉土のところ、掘ってごらん。幼虫がいっぱいいるよ。お父さんも知らなかったんだけどね、カブトムシが卵産んでたみたいだね」

と言った。

「ええ!!そうなの!!すごいじゃん」

私は思わず叫んだ。

都会で育った大学の先輩が、

「カブトムシはデパートで買うものだと思っていた」

と真面目に言ったのも衝撃的だったけど、ハタチを越えてから、私の同級生とカブトムシを森に取りに行って、大はしゃぎしていたのを思い出した。

先輩に教えてあげたい……。

腐葉土を作って、ちょっと節約するつもりだった父。

そこからカボチャが育って、カブトムシまで育っていた。

父が思いついた小さな節約から、思わぬ宝が飛び出してきたお話、でした。

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