2004年10月。実習生の乗った帆船、海王丸を台風が襲った。
急遽、富山湾に寄港したが、強風と高波に飲まれて座礁。
最上階の船室に全員が避難できたものの、停電のため真っ暗になり、海水が押し寄せて、胸まで浸る状態のまま、学生たちは救助を待っていた…
海上保安庁の特殊救難隊がヘリコプターで到着。しかし、その状況は絶望的であったという。
6メートルにも及ぶ高波と横殴りの強風が休むことなく襲いかかる。その度に船は大きく揺れている。
地元の消防が救助しようと近づこうとしても、陸や海からは近づくことができない。
荒れ狂う天候の中で、ヘリコプターで接近し、ロープで直接船へ降下して救助の足がかりを作らねばならない。
海王丸は帆船であるため、数本のマストにロープが網の目のように張り巡らされている。このような構造の中、従来のロープを垂らして伝って降りる方法では、絡まって失敗する危険があった。
これまで、このような救助の現場を見てきた当時の救難隊の佐々木さん。
彼は、ロッククライマーの技術を参考にして、ロープを最初から垂らすのではなく、少しずつ繰り出しながら降下する方法を考案し、何度も試行錯誤を繰り返していた。
他の隊員が諦める中で、1日に500回以上の練習を繰り返して、足がパンパンになるまで階段を駆け上る毎日。
何度も試して完成させた新しい降下法。それを今、自分がやるしかない。
「行くよ!」
声をかけて、50センチに満たない足場に向かって、降りていく。
途中で止まり、操縦士の森さんが慎重にヘリコプターを船のマストに寄せる。
森さんには、佐々木さんの姿は確認できない。管制の指示と自分のつかんだ操縦桿の感覚のみ。
やった!降りた!
息のあったヘリコプターの操縦士と共に、作戦を決行する姿は、神がかったものを感じた。
しかし、それは運が良かったのではなかった。
司会のアナウンサーが、極限の状態の時に思い浮かべることや、人はいますか?と質問した。心の拠り所を訊いたのだと思う。
佐々木さんは言う。
自分には…ないですね。ただ、自分を信じることです、今まで自分がやってきたことを信じることだと思います。
仏教の教えの中の、自燈明、という言葉を思い出した。
自分を信じて、自分の放つ光で道を照らしながら歩いていく。
積み上げてきた努力の日々が、自信を与え、その時の成功に導いたのだ。
彼は、驚いたことに、最初は「カナヅチ」だったそうである。救助隊に憧れて、必死に水泳を練習して最前線に立ち、指揮を取るまでになった。
その経歴を少し聞いただけで、この人は「自分を信じる心」を育ててきた人なんだなぁ、と思った。
今できないことでも、自分なら、いつかできると強く信じることができること、そして、たゆまぬ努力を重ねられること、これは、どの分野においても当てはまることではないだろうか。
この強い心は、一朝一夕で身につくものではない。どんな子ども時代を過ごしたのかな、と彼の成長過程にまで興味を持ってしまった。
「自己肯定感」って改めて、大切なんだな、と感じた夜でした。
※物語について
海上保安官、地元消防士の皆さんの決死の救助活動によって、教官、生徒たち、乗客、167人全員の人々が命を助けられました。
あわせて読みたい🌱
積み重ねた努力は、やがて大きな力になる。
そんな姿に心を動かされた方へ、あわせて読んでいただきたい2つの記事です。
🌷 このブログについて
私のブログでは、子育て卒業後の”自分らしい毎日”をテーマに、看護・家族・猫・ポタリングなど、日々の小さな挑戦と気づきを綴っています。
ぜひ、ほっと一息つきながらご覧になってくださいね。☕️🐾
今日も読んでいただきまして、本当にありがとうございます。コメントをいただけたら嬉しいです。コメント欄は下にあります。🐈⬛🐈⬛
このブログは、こんな思いで続けています。
▶︎ このブログについて


コメント