※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。
息子が内定式のために上京してきた。
その日は、会社がホテルを取ってくれたから、うちには帰ってこない予定だったので、のんびりと過ごしてスマホを見なかった。
寝落ちして、午前3時に体が痛くて目が覚めた。
あ、またやっちまった…
ノロノロ起き上がって、スマホを片手にベッドに向かう。
ん?メッセージ?
「東京合わない
もう高知帰りたい」
短く、息子からメッセージが入っている。
なぬ、なぬ?
でも、こんな時間じゃ電話できない。
「話を聞くから、とりあえず帰っておいで」
静かにメッセージを入れて、ベッドに入った。
4年前、家を出て遠く高知へ行ったときは、すぐに楽しい写真とメッセージが来ていたのに。
帰りたい、なんて。
すっかり高知がホームになったんだな。
息子らしいと思った。
会社が合わないと思ったのかと心配していたら、自宅に着くなり、
「あー。東京は汚すぎる!帰りたい。」
と言った。
あー、そういうこと。
帰ってきてからも、パタパタとパソコンを叩き、メールが届き、「うおー!うざい!」とか言いながら、しばらく頭を抱えている。
その姿を横目に、私はチキン南蛮を作っていた。
会話のない、静かな時間が流れていく。
それぞれが存在を片隅に感じながら、自分のことに没頭する時間。
なんか、懐かしいな、この感じ…
居心地が悪いわけではない。
家族だからこその時間。会話がなくても。
愛猫ごま助は、来訪者にビビって隠れたものの、すぐに出てきてカーペットに横座りしてくつろぎだした。
へえ、しばらく会ってないけど、息子は家族認定されているんだ…
夕飯の準備が終わって、ほっと一息、コーヒータイム。
目の前の椅子に座って、こちらもパソコンを広げ、チラッと息子を見た。
ずいぶんと大人になった。
何かよくわからない計算をして、難しい顔をしている。
当たり前のようにパソコンを操作するのを見て、時代は変わったなあ、パソコンを使うのは特別なスキルじゃないんだ。
改めて思った。
初任給が上がっているのは羨ましいけど、これからはもっと高度な仕事を要求されるのだろうな。
やがて娘カップルが来て、夕食を囲んだ。
ごま助は推しのK君の足にちょこん、と前足を乗せたり、靴下にくっついたり。
娘がヤキモチを焼いてそばに寄ろうとすると、すかさずごま助は距離をとり、鏡越しにこちらを見る。
食事中も大学の研究室の先輩からメッセージが来て、その対応に追われていた息子に、娘はつまらなそうな顔をして、
「せっかくみんなで会ったのにぃーー」
いくつだと思っているのだ?
「ねえねえねえーー」
しつこく頭を小突いたりしている。
「あーーー、オマエがマジで1番ウザい。」
「なによぅーー」
そんなやりとりを見つめながら、時間が経ったんだなあと思った。
でこぼこ道を越えて、今、私たちは新しい景色の中にいる。
あの頃、トライアングルのようだった私達家族に、娘の彼氏君が加わって、ごま助がいて。
次は息子の彼女ちゃんも加えて、笑い合えたらいいな。
息子のステージが変わりゆく今、私にも新たな生活が待っている。
それは、息子が家を巣立っていった時や、娘が新しい生活を始めるために飛び立っていった時に感じていた、自分を奮い立たせる気持ちではなくて。
おだやかで温かい、希望を自然に感じることができる未来。
会う頻度は減っていくかもしれない。
でも、これから2人が築くであろう家族が、私の周りに増えていく。
そんな楽しみを想像できる。
私の心は今、ゆるやかな愛情で繋がっていられる安心感に満ちている。
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