※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。
我が家には、「お父さん案件」というものがある。
困ったこと、怒られたこと、失敗したことなど、母が手に負えないと判断したものは、
「お父さんに言うよ!」とか「お父さんに相談してみてだね。」
と言われるのである。
ことが起きた時、父の前に座り、どうしてそうなってしまったのかを聞いてもらう。
それが、「お父さん案件」である。
数年前、両親のもとにいわゆる「オレオレ詐欺」の電話がかかってきた。
母が電話を取った。「俺俺、」じゃなくて、ちゃんと名前まで言ってたわよ。と母が振り返る。
なんとなく、声が違っていて、元気がなかったので、どうしたの、風邪でもひいてるの?と話しかけたところ、
そうなんだよ。と話を合わせてきたので、
「あなたもね、遠いところにいるんだから、健康には気をつけなくちゃダメよ」
と体の心配をした。その時は適当に電話は切れた。
数日後、また電話がかかってきた。
「今、九州にいるんだけど。困ったことが起きて・・・」と犯人が切り出した。
犯人の誤算は、先日の電話で母が「遠いところにいるんだから」という言葉を受けて、適当に九州にいると言ってきたのだが、実は当時、弟はアメリカに留学中であった。
(あら?アメリカにいるはずなのに、どうして九州にいるのかしら?)と思ったらしいが、そこは人間、なんとなく辻褄を合わせて理解しようとしてしまう。
引っかかりながらも、母は「困ったことが起きた」と言ったので、
「じゃあ、お父さんがいるから、お父さんに相談してみて」と、いつもの習慣で「お父さん案件」にした。
この時、父が在宅していたのは本当に幸運だった。
父に代わり、いつもの調子で
「うん?お父さんだけどね、どうしたの?うん?ゆっくり何があったのか、話してごらん。」
犯人としては、相手を焦らせて考える時間を与えず、判断を鈍らせて操作する目的でかけてきたはずなのに、
まぁ、そんなに焦らずに、わかるようにゆっくりと話してごらん。といつものゆっくりペースで言われて困ったのだろう、電話は途中でプチン、と切れた。
話してるのに、切っちゃったのよねー、と母が数日後に話したのでゾッとした。
「ねぇ、それって、オレオレ詐欺じゃないの?お母さん。」
「お父さんに代わってもらってよかったわよね、私ね、おかしいと思ったのよね、九州っていうからさぁ。まさか、アメリカにいるなんて思わなかったのね。ちょっと遠いところにしたのねー」
母は陽気に喋り続けていたが、父がいて、本当に良かったと思った。
先日書いた、スパゲッティの話と類似しているが、母や私は、家族が困っていると思うと、なんとかしてあげたい、と思ってしまうタイプ。
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そこを犯人は狡猾に狙っている。気をつけねば、と思った。
先日も、息子からの電話で、真夏に30キロ先の実験場に通っていて、疲労困憊だという話を聞いた。
私はすぐさま、熱中症になったら大変、アルバイトも減らしてあげたい、とかものすごい勢いで考えて、アクエリアス1箱と大きな水筒を翌日には届けてしまったのだった。
いかん、いかん…
よくニュースで、「ストップ!詐欺被害!私は騙されない」ってフレーズを聞くけど、
私には、まず「お父さん案件」と「我が家のリーダー、娘に相談」を強化した方が良さそうだ。
それにしても、父は「これは詐欺だな!」と見破ったわけでもなく、いつも通りの対応をしただけなのに、撃退劇となったこの話は、我が家では弟も含めて、たまに話題に上がる、父の武勇伝である。
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子どもの頃の「お父さん案件」と、いつも黙って話を聞いてくれた父のことを書いています。

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