孤独と「星の王子さま」

※この記事では、看護の現場で出会った人や言葉を、窓辺で思い出すように綴ります。【癒しの窓辺シリーズ】

少し前の出来事だけど、今も心に残っている話です。

震える子猫のような背中

入院を繰り返す若い女の子(さくらさん:仮名)がいます。彼女は20歳くらいになったのかな・・。

両親から虐待を受けて育ち、帰る家がない子です。

前回、単身生活の準備をして退院した翌日に、過量服薬して再入院。

いつも怯えた表情をしていて、気の毒なほどです。

同室者の女の子Bさんに用があって、さくらさんのお部屋を訪ねました。

「いるかなぁー?」

そう言いながら、私がお部屋に入っていくと、ちょうどドアの前にさくらさんが立っていて、

「あ、その子なら今はいないですよ」

と声をかけてくれました。

「そーなんだー、どこ行っちゃったんだろうね?」

笑いながら何気なく、Bさんのベッドカーテンを開けて覗くと、布団にくるまって寝ていました。

「あ!!さくらさん、いたよ、ほら。笑」

とさくらさんを振り返ると、みるみる真っ青な顔になって

「ご、ごめんなさい!!違うこと言っちゃって・・・ほんとにごめんなさい!」

必死に謝り続けていました。

「え?どうして謝るの?謝らなくてもいいんだよ、教えてくれたんだよね。怒ってないよ?大丈夫だよ」

内心、本当に驚きました。普通なら、あ!ほんとだ!隠れてた!で終わる話。

この子は、こんな場面の時は責められたり、叩かれたりしたのかもしれない・・・

生きるために、相手の表情や仕草を必死に観察して、反射的に謝ることが身を守る術として身についている

子猫のように震えて真っ青な顔で立っている彼女の背負ってきたものを感じた瞬間でした。

この子には、いつもよりも言葉や態度に気をつけて接しなければ・・・

そして、彼女が間違って受け止めてしまったメッセージは、その時々で修正して「言葉」にして返していこう。そう思いました。

ここが安全な場所でありますように

深い傷を目の前にして、少しだけ暗澹たる思いがしました・・・

この子は、この世界を少しは信じられるようになるにはどのくらいの年月が必要だろうか

幼い心を傷つけた罪は、本当に重い。

あの子にとって、せめて、ここは安全な場所であってほしい。

 

本屋で出会った、小さな王子さま

クリスマスプレゼント商戦に沸く年末のショッピングモール。

ふらりと出かけて、本屋さんに立ち寄りました。

目に止まったのは、有名な絵本「星の王子さま」

有名だけど、読んだことなかったなぁ・・・と手に取ってみました。

小さな星にたった一人で住んでいた王子さま。たった一本のバラのお友達を大切に大切に育てていました。

「私は世界でたった一本のバラなのよ」

いつも、バラはそう言っていました。

だんだんと、バラのわがままが増えていって、王子さまは他の星を見にいくことにしました・・・

バラの「愛しているよ、行かないで・・」という声は王子さまに届きませんでした。

王子さまはいろんな星を見て、最後に地球にやってきました。

そこには、たった一本だと思っていたバラが何千本も咲いています。とても驚いて、泣く王子さま。

だけど、友達になったきつねがある日言いました。

「わかるよ。そのバラは君にとって、特別な一本のバラだったんだね。」

やがて、王子さまは、自分の星へ帰っていきました・・・

絵本は、はっきりとした答えを示さないところがあって、その余白が、読む人の想像力を膨らませるし、自由な解釈があっていいっていう懐の深さが好きです。

ひとりでも、孤独ではない

ひとり暮らしで寂しくない?って聞かれることがあります。でも、不思議と寂しさよりものびのびとした開放感を感じる。なんでだろう?って考えた時、ああ、私はひとりじゃないんだ。って思いました。

こうして、クリスマスプレゼントを選ぶ楽しみがあって、喜んでくれる人がいる。

たとえ、それが、ひとりだけだったとしても、その人は孤独じゃない。

心が帰りたいと思える場所があれば・・・

たくさんのバラを見た時、なぜ王子さまが泣いてしまったのか、まだ、私にはわかっていません。

何回も読み返したいな、と我が家にこの絵本をお迎えしました。

将来出会えるお孫ちゃんに読んであげたいな・・・

 

🌸このブログについて
私のブログでは、子育て卒業後の”自分らしい毎日”をテーマに、看護・家族・猫・ポタリングなど、日々の小さな挑戦と気づきを綴っています。

ぜひ、ほっと一息つきながらご覧になってくださいね。☕️🐾

🌱癒しの窓辺シリーズ

忙しい日々の中で、ふと立ち止まる窓辺の時間。病院で出会った人たち、看護の現場で感じたこと、心に残った言葉。

そんな出来事を、窓辺で静かに思い出すように綴っています。

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