私の再出発ノート⑩|波乱の戴帽式

※この記事では、看護学校時代の体験や再出発の歩みを通して、学びや心の変化について綴っています。

 

看護学生は一年次、ほとんどが座学です。体の仕組みや病気、そして看護学などを学び、秋になると、いよいよ実習へ向けて戴帽式が行われます。

ナイチンゲールの看護の精神を踏襲し、ナースキャップをかぶらせてもらう儀式です。

この儀式の前には、厳しい技術テストがあります。これはまさにサドンデス。今まで習ってきた看護技術のどれかを、先生の前でミスなくできなければなりません。

しかも、監督する先生によって、正直、運命が左右されます。

私たちは、前述の通り練習した甲斐もあり、なんとか合格を勝ち取ることができました。けれど、あの遅刻魔の女の子、アミ(仮名)が不合格になってしまいました。

彼女は、それまでも遅刻したり、短いショートパンツを履いているなどの理由で、なにかと先生に注意されていました。ペーパーテストの結果も、ギリギリだったと思います。

そういうフィルターもあったのかな、と個人的には思うところはあるけれど…。

彼女のことは、最初は迷惑な子だなぁ、と思っていました。でも、入学試験を3回も受けた根性のある子で、先生に注意されてもファッションは変えないし、ちょっと酒癖は悪いけど、いつも明るくて、

「ラーメンいっぱい食べたら太っちゃったぁー!」

と大笑いするような、憎めない子でした。

何より、グループでやる課題をサボる子がいる中で、真面目にやってくるところは見直しポイント。秋には、私たち社会人組も彼女と仲良くしていました。

「技術試験に落ちたのだから、戴帽式には出席させません」

先生は、冷たく言い放ちました。

その後、アミがどんな話し合いを先生としたのかは分かりませんが、戴帽式には出席できることになりました。

しかし――

ナースキャップを被らせるわけにはいかない。白い三角巾を被りなさい、と言われたのです。

18歳の女の子が、周りはみんなナースキャップをもらって浮かれている中で、どんなにつらかったか。普通なら、もう辞めたいと思ってもおかしくありません。

でも彼女は、三角巾姿で出席しました。

その後の実習も、再試験に合格するまではナースキャップを被らせてもらえませんでしたが、根性で出席を続けていました。

たまに、飲みすぎてグデングデンになり、彼氏に迎えに来てもらう…なんてハプニングを抱えながらも。笑

さて、戴帽式当日。

背の順で舞台に並び、ナイチンゲール誓詞を声を揃えて唱えたあと、ひとりずつ先生の前に進み、ナースキャップを戴帽します。

舞台は薄暗く、キャップを頂いたあと、小さなキャンドルでナイチンゲール像から火を分けてもらい、並びます。

「われは心より医師を助け、

わが手に托されたる人々の幸いのために、

身を捧げん」

最後の一文を読み上げたとき、感動がこみ上げてきました。

いろいろあったけど、みんなでここまで来たんだ……。

実習の厳しさをまだ知らなかった私たちは、静かな感動の中、キャンドルを灯しながら歩いていました。

儀式の後は、現役世代の子たちが、きゃっきゃとナースキャップ姿の自分をいろんな角度から撮影したり、友達と騒いだり、楽しそうにしていました。

後日、舞台に並んだ写真を見て、メグちゃんがひと言。

「若い子がみんな背が高いから、前列ぜんぶババア揃ってるじゃん!!」

――ジェネレーションギャップ。

🍃 このブログについて

子育て卒業後の“自分らしい毎日”をテーマに、看護・家族・猫・ポタリングなど、日々の小さな挑戦と気づきを綴っています。

どうぞ、ほっと一息つきながらご覧くださいね☕️

🩺 カテゴリー:看護学校体験記「私の再出発ノート」シリーズ

40代で看護学校に通い、看護師として再出発するまでの実体験をまとめています。

迷いや不安を抱えながらも、一歩を踏み出す勇気を描いたシリーズです。

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