※ポタリングとは、目的地や速さにこだわらず、景色や寄り道を楽しみながら自転車でのんびり走ることです。
暑さ寒さも彼岸まで、と言いますね。
今回は、北坂戸の大寒桜並木を見に、のんびりポタリングしてきました。
朝は晴れていましたが、空気には少し肌寒さが残っていました。
北坂戸の街並みと、少しの寂しさ
10時15分、東武東上線の北坂戸駅に集合。
駅前には、URの高層住宅と商店街。昭和の時代には、きっと賑わっていたのだろうなと想像できるけれど、今はシャッターが下りて、しんとしている。
杖をついたお年寄りが歩いている。
自転車を走らせると、草の生えたグラウンドでは野球をしている人たちがいた。少年、ではない。
駅から少し離れると、新しい住宅街が見えてきた。スーパーや100円ショップが揃ったショッピングモール。
もはや街の中心はこちらに移っているようだ。
川沿いを走る、春の気配
高麗川の堤防ロードを走る。
ジョギングする人を見て、タニさんが言った。
「今日はポタリングかジョギングか、迷ったんだよねー」
確かに、迷うような気温だね。
私も走りたい気分だった。
堤防なのに、肝心の水が見えない。
あれ? 川だよね、ここ。
疑ってしまうほど、木や草が生い茂っている。
よく見ると、細い小川のようになっていた。渇水が過ぎる……
パン屋さんと小さな出会い
今日は、大寒桜という珍しい桜並木を見に行くポタリング。
その前に、お昼ご飯を買っていくことになり、工場を併設したパン屋さんに立ち寄った。
自転車を駐輪しようとして、
「あ、かわいい!!」
思わず声を上げてしまった。

お留守番のわんちゃんをつなぐポールに、ちょこんとダルメシアンが座っている。みんなが撫でるのか、鼻が少し禿げている。
はい、K3と記念写真。
春のクロックムッシュ、桜あんぱん、胡桃パンを購入。
こんなに食べられない気もするけれど……
パン屋さんの前の道を、団体さんが歩いている。
もしかしたら、同じ行き先かな?
年齢は70代くらい。
私たちの少し先を歩く先輩たち。元気でいいなぁ、と希望をもらえる。
工場団地の奥の駐車場は満車で、警備員さんが忙しく誘導していた。
こういう時、自転車はいいよね〜
バイクの人もたくさんいた。
大寒桜の並木へ

川沿いに植えられた桜並木は、遠目から見てもピンク色に霞んで見える。
ソメイヨシノより少し濃いピンクで、春らしい華やかさがあって、とてもいい。
入り口にはキッチンカーが並び、人々が列を作っていた。
ベンチや草の生えた素朴な桜の足元に、家族連れ、カップル、友達同士、夫婦……それぞれの形で集い、のんびりとランチを食べている。
平和だなぁ……
不安定な世界のニュースを、つい疑ってしまうほどに。
少し頑張って堤防を登ってみると、また違う景色が見えた。
それにしても、犬を連れた人の多いこと。
「まるでドッグショーだね」なんて話しながら歩く。
嬉しすぎてぐるぐる回っている柴犬。
見たことのない大きな黒毛の犬。
もこもこのトイプードル……
その中に、んん?! と思う小さな動物がいた。
猫より小さくて、ちょこまかと動いている。
人垣ができている。好奇心を抑えられず、堤防を駆け下りてそばまで行った。
イタチ?

袴をはいている。人懐っこく、知らない人の匂いを嗅いでいる。
「あの、この子はなんていう動物なんですか?」
「ミーアキャットですよ」
えっ、ミーアキャット!
驚いてもう一度視線をやると、さっと後ろ足で立ち上がったではないか。
かわいい!
「あの、何を食べるんです? トイレは?」
矢継ぎ早に質問攻めにしてしまった。
雑食で、トイレも覚えるそうだ。
どんなトイレなのか知りたかったけれど……
さすがにしつこいかな、と思ってやめておいた。
ミーアキャットのほかにも、アヒルが歩いていた。
くちばしは小学一年生のランドセルみたいな黄色、足は少しオレンジ色。広告で見るあの感じ、そのままだった。
それにしても、変わったペットを飼っている人がいるものだなぁ。
そんなふうに桜の堤を歩いていくと、賑わいは少しずつ薄れていった。
振り返ると、長い桜並木がカーブを描きながら続いている。
ここは2000年、桜エリアとして越辺川沿いの堤防約1.2kmにわたって、約200本の安行寒桜の苗木が植えられたそうだ。
ちょうど娘が生まれた頃の苗木が、こんなにも太く立派になっているとは……
たぶん、以前はほとんど人が訪れなかった田舎の堤防も、こうして植樹をして手入れを続けていくことで、こんなにも人を集める癒しの場所になるのだなと思う。
人を呼んで、街を元気にするにはどうしたらいいか。
そんなことを、きっと誰かが話し合ったのかもしれない。
山口県萩市の夏みかんを思い出した。
明治維新で困窮した士族を救うために、元藩主が奨励した夏みかん栽培。すぐには結果が出なくても、それがやがて主要な産業となり、人々の暮らしを支えたという。
気の長い話だ。
またもや、タイパにこだわる今の流行りの考え方と比べて、一人で苦笑いしてしまう。
すぐに目に見える結果が手に入らなくても、努力は無駄ではない。
そんなことですよね、殿様。
越辺川沿いに自転車を走らせる。
まだ新芽の硬い木々の足元には、淡い紫色の紫花菜が絨毯のように群生していた。
幹がむき出しになって踊るような木々の姿は、どこか魔女を思わせる。
その中に、美しい妖精が迷い込んだ、少しだけ怖い森を想像した。
黄色い菜の花との対比が、さらに美しさを添えている。
やがて、沈下橋が見えてきた。
木製の趣のある橋。今は水量も少なく、穏やかな雰囲気だ。
時代劇の撮影に使われたこともあるらしい。

「軽いお花見のつもりで企画したのに、意外と走ったなぁ。明日仕事なんだけど」
と、タニさんが苦笑いする。
私も明日は仕事です。社会人はなかなか厳しいですね。
時間のない毎日だからこそ、ポタリングの時間の貴重さがわかる。
そんな気がした休日でした。
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