※この記事では、看護学校時代の体験や再出発の歩みを通して、学びや心の変化について綴っています。
看護師国家試験に合格して、卒業するまでの最後の春休み。
たぶん、これが人生最後の春休みになるだろう、と思った。
「ねぇねぇ、一緒に派遣バイト行かない?」
クラスメイトのリョウくんからお誘いを受け、二つ返事でOK。
卒業旅行の軍資金稼ぎ、というわけなのだ。
私たちは派遣バイトなるものは、初めての経験だった。まず、派遣会社に登録をする。そして、仕事を紹介される。
いろんな仕事があるけれど、私たちは短期や1日だけの仕事を選んで一緒に行っていた。
その一つが、カーテンのピッキング作業。
2人でリョウくんの車に乗り込んで、おしゃべりをしながら隣の県の職場まで行く。
リョウくんの奥様との馴れ初めを聞いたり、その前の彼女の話、家族の話、、話が弾むと必ず道を間違えた。
「あれ?あいちゃん、こんなところ、昨日通ってないよね?」
毎日、少しずつ違う道で通っていた。
それ以来、奥さんのむっちゃんからは、
方向音痴とおしゃべりの組み合わせだから、心配だよー。
と言われている2人。
大きな倉庫に、いろんな柄のカーテンが入った段ボールが積み上がっていて、一つの道になっている。
買い物カートと注文用紙を持って、スタート。
このダンボールの道を進みながら、注文された番号のカーテンを指定された数だけ、カートに載せていく。
えーと、
1番を3個、4番を5個?
段ボールの道が終わる頃には、カートがいっぱいになって山みたいになっている。
登録する係の人がいるテーブルに持っていって、終了。また、繰り返し。
これを一日中やり続ける。
最初はお買い物みたい、こんなことでお金もらえるんだー!と思っていたけど、数周するとさすがに疲れてくる。
うーーん。どうしてこんなにあるの・・・。
だんだん、カーテンが憎らしくなってきて、えいや!とやっつける気持ちになってくる。
最後は全員がへとへとになって終わる。疲れるけど、なんか達成感がある。
もう一つ、強烈な派遣先があった。印刷工場での仕事。
やっぱり広い体育館のようなところで、ひっきりなしに機械が動いている。どうやら、綴込み作業らしい。
ダダダダダダダダ・・・
機械の前には、印刷された紙が積まれている。
「ハイ、この紙をトントン、と少し整えてから、この機械に入れます。」
適量を慣れた手つきで社員さんが入れると、綴じられて下に出てくる。
この仕事を休みなくやる。
機械は疲れない。どんどん、綴込み作業は進んでいき、紙を補充しなければいけない。焦って入れると、すぐに詰まってしまう。
そうすると、社員さんが不機嫌な顔でやってきて、注意される。
「スミマセン・・・」
積まれた紙の山が低くなってきた。
やった!もうすぐ終わりだ!
そう思った矢先、フォークリフトが近づいてきて、ドスーン!
新たな紙の山が積まれた。
あ・・・。鬼!
三途の川の賽の河原を思い出した。
隣を見ると、リョウくんが驚くべき速さで紙を整えて、せっせと機械にセットしている。しかも、5台を操っているではないか・・。
すご!
私は2台で、何回も詰まらせているというのに!
彼は、飲み込みも仕事も早い。看護師になってからも。
「あれは、疲れたよねー!カーテンの時も、もう嫌って思ったけどさ、機械が相手だと、休めないもんねー。もう、あの仕事はやめよう笑」
と仕事が終わってから、話し合った。
それから、派遣の仕事を探しに行くと、この印刷工場が空いてますよ、と言われることが多かった。みんな、考えることは同じ、というわけだ。
束の間の春休み。
日雇い派遣で働いて手にした卒業旅行のお小遣いは、金額以上の価値があった。
仕事して稼ぐって、本当に大変なんだぁー!と実感。
今でも社会勉強のために、一度は日雇い派遣の仕事やってみた方がいいよ!とつい勧めたくなる。
あの春休みは、看護師になる前の小さな社会勉強だったね、と語り草になっている。
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🩺 カテゴリー:看護学校体験記「私の再出発ノート」シリーズ
40代で看護学校に通い、看護師として再出発するまでの実体験をまとめています。
迷いや不安を抱えながらも、一歩を踏み出す勇気を描いたシリーズです。
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