※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。
3日目。
今日は帰国しなければならない。
散らかしっぱなしの息子を起こして、急いでチェックアウト。荷物は預けたまま、出発。
「こんなに早くどこ行くんだ?」
「決まってるでしょ!昨日のお店!」
娘は慣れた手つきでスマホからタクシーを呼び、昨日の肉まんにゴー!
そう、昨日の朝ごはんがおいしすぎて、翌日も行ってしまったのだった。息子はおかわりする。と中国語わかんないのに、地元民と並んで肉まんをもう一個買ってきた。
その体当たり精神、すごい。やっていけそうだ。
時間もないので、地元のスーパーに行くことにした。
誰もいない静かな朝。ぶらぶらと3人で歩いていると、なんだかここにずっと住んでいるような気さえしてくる。日本と同じような川岸には、古そうなアパートや中国風の装飾がついたビルが立ち並んでいる。
ゴミ屋さんが仕事をしている。だいたいの大きなゴミは回収を終えて、残りの散らかったゴミを数人の作業員さんが丁寧に掃除している。
台湾では、ゴミ収集車を追いかけてゴミを投げ入れるんだってさ、と信じがたい風習を娘が語る。
空いた一斗缶を再利用して作ったちりとりを使って、丁寧に掃き掃除をしているのどかな朝の風景の背後には、デデーン!と空を突くようなビルが建設途中。
この街は、どんどん変わっていっている…
川辺には、初夏を思わせる日差しを受けて、南国らしく椰子の木やピンクのブーゲンビリアが輝いている。
素敵…だけど、これは地元の人にはいつもの風景なんだな。
スーパーマーケットで空港よりは安いお土産のお菓子やお茶を買って。
ホテルに待機していたタクシーに乗りこんで空港へ向かった。車窓から初日に息子が鉄棒をした公園が見えた。
楽しかったな…
台湾の手芸屋さんで買った布で、何を作ろうかな…とウトウト
「ママ、起きて、もうすぐだよ。」
隣で娘が現金を握りしめている。
なんか、頼りっぱなしだったなぁ。
「うん、ありがとね。」
空港に着いて、運転手さんが荷物を降ろしてくれた。やれやれ、と空港内のベンチで娘がハンドバックを確認して、
「あ!!タクシーにお財布忘れちゃった!」
と叫んだ。
え!!
追いかけたけど間に合わず、さすがの娘も真っ青になって、どうしよう!と泣いている。
こういうとき、少し深呼吸して、まずできることを考えてやる!という思考回路があるのは、ナースだからかもしれないし、あるいは――自分のことじゃないから、かもしれない。
「大丈夫、落ち着いて考えよう。パスポートは持ってるんだよね?何が入っていたの?」
「うん、現金とカードが入ってる!どうしよう!!」
「よし、パスポートが手元にあるなら、まず大丈夫。帰国できるよ。ホテルにいたタクシーだから、ホテルに電話してみて。」
「海外だからスマホで電話できないの!」
「よし、わかった、カードはネットで停止できるからやって。それから、あの係の人に相談して、電話してもらおう。」
普段はキビキビしている娘も、気が動転して動けなくなっている。
「よし!あそこにいる警備員みたいな人、捕まえてきて。」
娘に代わって私が、息子に指示を出す。
それまで寝ぼけていた自分が嘘のように覚醒して指示を出している。
娘はショックのあまり、英語や中国語が出てこなくなって、スマホで筆談している。
どうやら、空港近くの警察へ行きなさい、と言っているらしい。
フライトまでにはまだ時間がある。タクシーに3人で飛び乗った。
現地の警察署につくと、ベテラン警官が、ちょうどお昼ご飯を広げているところだった。
銀のプレートに焼き魚ととうもろこし…
娘に何度もホテルに電話してもらうようにといっているのに、わかってる!!と遮り、
警官に「(タクシードライバーさんは)なんか、樹木みたいな名前の人でした」とかいうので、
分かった、とベテラン警官が前のめりにパソコンの画面を開いてドライバーの名前をいちいち見ている。
これじゃ、ダメそうだな…
少し、イラっとして、テレビを見ると、やかましく外国語で捲し立てる声と、サッカーの中継。
全く頭に入ってこない。
3人の日本人が、まあ、掛けなさいと言われて不安げにソファセットに座っているのをみて、入ってくる昼休みの警官たちは、何やら中国語で話している。
あとで娘が、私たちがわからないと思って、わざと台湾の訛りで話していたけど、この日本人はどうしたんだ?って言ってたよ。と
と、そこに一本の電話。
ああ、そう!ああ!
外国語でもいい知らせを受けた時はわかるものだ。
さっきのタクシーの運転手さんが気がついてくれて、こちらに持ってきてくれる、という。
ああ、なんて親切な国、違う国だったら現金なんかとっくにないだろう。
若い女性警官さんが、優しくミネラルウォーターのボトルを手渡しながら、娘にゆっくりの中国語で教えてくれた。
「持ってきてくれるそうだから、少しお礼のお金がかかるかもしれません。」
やがてやってきたドライバーさんは、確かに丸顔のあの人だ。名前を見たら、「樹林さん」だった。ああ、これか!こんな時に、なんとなくおかしみが湧いてくる。
わざわざ連絡して戻ってきてくれて、中身を確認してくれ、と言う。中身はピッタリと元の通り、お礼をお渡しした。
地元警察官たちも、やれやれこれで静かに昼休憩が取れる、といった安堵感が広がり笑顔で見送ってくれた。私と息子は、謝謝!しか言えなかったけど、とにかく異国の人々の優しさに感動していた。
さらにこのタクシードライバーさんが、空港まで送ってカバンをおろしてくれて、早く行け行け!とジェスチャーして送ってくれた。
お代は請求されなかった。渡したお礼は込み料金だったようだ。
タクシー代は100元。
残るのは200元、日本円で1000円くらいじゃないの。
と言ったら、息子が、まあ、いいんじゃない?昨日のルーロウハン、何杯も食えるな、と。
私たちは、ゆっくり買い物をする時間はなくなったけど、なんとか出発ロビーに入ることができて、残りの小銭でコーヒーを買って人心地ついた。
ああ、よかった…
安心した娘が一言、「ね、ママ、樹木みたいな名前、だったでしょう?」
もう、いいよ、それは。笑
今回の旅行は、娘に頼りっぱなしだったから、最後の最後で疲れちゃっていたんだろうな。
連れてきてくれてありがとう。
10年前の旅行では、みんなで共通のポケットWi-Fiを日本からレンタルして持っていった。
でも、今回は、アプリを入れるだけで、現地の回線にそのままつながってネットが使えた。
ポケットWi-Fiもいらないらしい。
すごい。進化してる。
その進化の波に、娘に手取り足とり教えてもらいながら、やっと乗っている。
小さい頃は、私が2人を引っ張っていたのに…
いつの間にか、保護される側になっている。
娘が立派に成長したとも言えるし、私が歳をとった、とも言える。
感動するやら、しんみりするやら、まぜこぜの気持ち。
だけど、息子は、
パスポートは使ったらすぐにママに渡してよ!とか姉から言われて、へぇ、と従ってるのをみると、ほっこりする。
2人の関係は変わらないし、この関係があるから、息子はのんびりと自由なのだ。
私たちは別々に暮らしているけれど、絶妙なバランスのトライアングル関係は、集まれば、まだそこにある。
息子が卒業して、完全に私の保護の傘から離脱すれば、また形が変わっていくだろう。
3人で旅行するなんて、これが最後かもしれない。
安堵と少しの不安。
不安はなるべく見ないようにして、本当の母卒業までのカウントダウンを、
そっと楽しんだ旅だった。
🌏台湾の旅をまとめました
台湾旅行記まとめ|息子の巣立ち前の旅
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