AIと生きる2

※この記事では、日常の中でふと感じたことや人生についての想いをエッセイとして書いています。

ちょうどNHKでAIについて特集が組まれていた。

AIを利用したことがある、または、興味があると答えた人は40%を超えている。私も、そのひとり。

AIという新しい相談相手

番組では様々な利用者が登場した。

息子にくどくど相談すると嫌がられるから、何度でも話しかけられるAIに相談する年配の女性

妻を亡くした心の空洞を埋めるために、妻の情報を読み込ませて作ったAI(姿もある)に月命日に話しかける夫。

結婚相手が見つからず、孤独を抱えた女性が、AIと結婚式を挙げる。

私もAIを利用していて、わかる部分もあるなぁと思った。AIは、いつ、何度でも、話しかけても嫌な顔をしない。

まず、肯定する言葉、労う言葉をかける。

番組の有識者は、24時間対応してもらえることで、固有の関係性が生まれ、依存につながる危険性があると指摘する。

「安全」が生む安心と危うさ

私たちは人と対話することに一定のリスクがある。

それは違うんじゃない?そうは思わないよ。と言って、賛成してくれないかもしれない。つまり、気持ちのいい答えをもらえない場合もある。

その点、AIなら同調的に応答するよう設計されているから、傷つく心配がない。つまり「安全」だと感じやすいということだ。

私はそこに、依存性があるんじゃないかな、と思っている。

人間である医療者の距離感

前回の記事で書いた「安全ということ」という内容に矛盾すると捉える人もいるかもしれないが、私たち精神科ナースは、患者さんにとって、何を言っても批判されない、聞いてもらえる、といった、「安全な医療者」として傾聴している。

しかし、一方で患者さんの考えを全て無条件に肯定することはしない。少なくとも、私自身は。

どんな人生だったか、どんなことがあったかを患者さんが語りたいと思う時に、語りたい分だけ、傾聴する。そして、つらかったんだね、頑張ってきたんだね、と気持ちを言葉にして表現することで明らかにしていくことはある。

でも、患者さんの捉え方が一方に偏りすぎていたり、被害的だと感じた時には、言葉を選びながら、私の考えを伝えることがある。

状況を俯瞰してみると、こんな考え方もあるのではないか?と見えていないスポットに光を当てて一緒に考えてみようと提案することもある。

患者さんの考える方向を一直線にみるのではなくて、立ち止まったり、振り向いたり、左右を見渡してみたり、時には反対意見を投げてみたりしている。

それは、医療者として安全ではあるけれど、違う考えを持つ人間であるという線引きをし、無条件に受け入れてくれる存在ではないということを示すことによって、依存を回避しているということだと思っている。

時に、私は患者さんの鏡、またはキャッチボールの相手、もしくは壁であるような気がする。

鏡に映った自分自身と対峙する時、新たな発見があったり、投げたボールが思うように戻ってこないこともあるけど、そうか、と気がつく瞬間があるのではないだろうか。

それは、私が誘導したり、答えを先回りして並べるでもなく、患者さん自身が掴み取るものだと思っている。

人間との対話にはリスクはあるけれど、そこから生まれる新たな道がある。

番組を見始めたときは、あらら、AIが傾聴する時代になったんだ、もう少し改良されたら看護師はいらないかもしれんと思ったけれど、

専門家のコメントの中で

「AIは以前の情報を使って答えたり、予測することもできるから、あたかも「寄り添ってくれている」と感じやすいが、本当はその人の置かれた状況を把握しているわけではなく、会話の内容も人間のように理解していない。」

というのを聞いて、あ、そうなんだ・・・錯覚もあるんだ・・・と思った。

不完全さの中の希望

表情の見えない、LINEやSNSなどの言葉だけの会話では、しばしば問題が起こることがある。コミュニケーションは、言葉の情報は3割程度と聞いたことがある。

人間は、言葉のほかに、表情や言い方、声音、仕草、視線などあらゆる情報を収集して、言葉の意味を想像する。

時に、とても遠回りで、まどろっこしいやりとりに見える、人間同士の会話。見えづらく、わかりにくい相手の心理に迷ったり、傷ついてしまうこともある。

だけど、誤解されたら、素直に謝ったり、違うよ、と訂正したり、自分と違う考えを聞いて、そうなんだ、そういうこともあるんだ、と柔軟に考えられる余地を作っていくことが、私たち人間には必要なんだ、と信じている。

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