※この記事では、看護の現場で出会った人や言葉を、窓辺で思い出すように綴ります。【癒しの窓辺シリーズ】
急性期から慢性期病棟に異動して3日。患者さんの半数は知っている顔ぶれ。
それもそのはず、急性期病棟では90日間という期限があって、それまでに退院できない人は、慢性期病棟へ転棟となるからである。
若い患者さんは、私を見て「あー!⚪︎⚪︎さんだ!どうしてここにいるの?」など、賑やか。
急性期病棟で、私に叱られてプイ!と怒っていたのに、後になって「ごめんなさい」と謝ってきたり、
他の患者さんに「この看護師さんはね、怖いよ!だけど、私のことを思って悪い時は叱ってくれるんだ。」
なんて、目の前で話しているのを聞くと、笑ってしまう。
急性期での出来事をこちらで語っていますが、少し芽が出たのかな、と感じる瞬間。
急性期病棟で、何度もナースステーションのカウンターに来ては、「死にたい」と繰り返し訴えていた子に、何度も傾聴対応をとっていたが、とうとう痺れを切らして
「あなたもいろいろあって、生きづらいのはわかるけどね、生きたくても生きられない病気の人だっているのよ」
と言ってしまったことがある。
「私だって!!私だって!!死ねるなら、その人と交換したっていいんだ!!だけど、交換できないじゃん!!!わぁぁぁぁぁぁ!!」
案の定、私の言葉に反応して大騒ぎした。こうやって、反応するから病棟が不穏になるので、優しい言葉をかけてお部屋に帰ってもらうこともあるのが日常の急性期病棟。
(もちろん、切迫した希死念慮の時は、違う対応をしますが、この子はつまんないことがあると、「死にたい」と言いにくるタイプで、長い付き合いがあることをお伝えしておきます)
泣いて騒ぐのもいいのよ、やりなさいよ。こうやって騒ぐのを許されなかったんだからね、あなたは。
心の中でそう思って、見つめていた。
今、彼女は、親元を離れてグループホームで生活している。
たまに問題を起こして入院してくるけど、あの頃とは違った顔つきをしている。作業療法で会うと、駆け寄ってきてくれる。いつも、漫画に出てくる不思議少女みたいな格好をしている。
「あら!入院したの。かわいいね、いつも。」
そう答えると、「え。ありがとう。」照れくさそうな笑顔を見せる。
いろいろあるだろうけど、この子は頑張って生きてるんだ、そう思うだけで、かわいいなぁ、と思う。
大晦日の事件を起こした子も、「ねぇー、ずっといてよ、帰らないでよ、ねぇー」とひっついてくる。
※大晦日の夜勤はこちらをどうぞ→笑ってしまった大晦日
そんな若い患者さんと、高齢になって、精神病に半分認知症が加わったようなお年寄りたちがごちゃ混ぜに住んでいる。治療、というよりは、「住んでいる」が正しいのかもしれない。
家族が疲弊してしまったり、家族が高齢になって一緒に住めなくなったり、といろんな事情を抱えているお年寄り。帰りたいっていうけれどね…
この人たちは、ほとんど処方変更もなく、落ち着いていれば施設のお年寄りと同じ生活を営んでいる。
起こされて、
「嫌だ!」と言いながらお風呂に入り、
作業療法に連れて行かれて(!)塗り絵をしながら、うつらうつらと居眠りをして、お茶を飲む。
こう書けば、平和だけどそこは精神科。機嫌が悪いと、「なんだよ!お前なんか、嫌いだ!」とか「ばかやろー!」とか怒鳴ってくるし、おむつ替えの時に足が飛んでくることもある。
こういうことが度重なると、人間だから陰性感情が芽生えてしまって疲れ切ってしまう看護師もいる。
違った意味で、ここでも「感情労働」。
でも、6年近く「死にたい」と聞かされてきた私には、「シミが増えたわね」とか痛いこと言われるほうが、今はいいかな、と思っている。
たまにきた先生に「がんばってね…」って声かけられたよ、俺!と苦笑いしていた同僚。
異動が決まって、
「先生!私、慢性期に異動するんです、たまには来てくださいね!」
と声をかけたら、
「あははは。あそこはね、、私もちょっと距離を置いてるというかね…笑」
相変わらず、先生は嘘がつけない人、である。
まだ3日目、自分のペースでゆっくりと歩いていこう。
🌸このブログについて
私のブログでは、子育て卒業後の”自分らしい毎日”をテーマに、看護・家族・猫・ポタリングなど、日々の小さな挑戦と気づきを綴っています。
ぜひ、ほっと一息つきながらご覧になってくださいね。☕️🐾
🌱癒しの窓辺シリーズ
忙しい日々の中で、ふと立ち止まる窓辺の時間。病院で出会った人たち、看護の現場で感じたこと、心に残った言葉。
そんな出来事を、窓辺で静かに思い出すように綴っています。


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