※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。
息子は生まれてすぐ、ほっぺが赤く腫れてきた。ん?
1ヶ月健診で診てもらったら、赤ちゃんによくある脂漏性湿疹だろう、と軟膏が処方された。
でも、清潔にしてクリームを塗ってケアしても、良くなりません。
痒いのか、小さい手で掻いてしまってもっと荒れてしまう。滲出液も出てきました。
ミトンをするのもかわいそうだし…
「アトピーですね」と言われて
皮膚科に行くと、
「アトピーですね。お薬、出しておきますね。」
あっさり言われて、何本も軟膏が処方されて重ね塗りするように指導された。
アトピー。
うちにはアトピー性皮膚炎を持った家族はいないんだけどな
ま、でも、薬を塗れば治るでしょ。
最初はこの程度に思っていました。
これからが長い闘いになるとは…この時は考えてもみなかった。
成長すると、全身に赤いプツプツが広がっていきました。痒いから、ボリボリ掻いてしまう。
処方された抗炎症剤を塗ると、スッと良くなるけど、また悪くなる、の繰り返し。
冬は耳たぶが乾燥と肌荒れで、切れて出血する。
なんとかしてやりたい…
ちゃんとケアしているのにどうして良くならないんだろう…
とても悩みました。
母から、実家近くの温泉が肌にいいらしい、通っている人もいる、と聞けば連れていった。だけど、通うことは難しい。
2歳になった頃、友達から通っている皮膚科を紹介されて、皮膚科ってどこm同じじゃないのかな?と思いながらも行ってみました。
信じると決めた治療
昔ながらの平屋の医院。看板には、医院名と専門は皮膚科だけ。
ここ…?
曇りガラスのドアを押して入ると、これまたレトロな待合室。
シィン、として、待っている人は数人。
スリッパを出して履き替え、初診です、と受付の方に伝える。
早口で呼び出しをする先生の声。
お入りください、のお入り、くらいでマイクが切られている。
「こんにちは…」
古くて軽い木製のドアを開けると、マスクを二重にかけ、あごから白い髭がもじゃもじゃとはみ出ている白衣を着た50代くらいの痩せたおじさんが座っている。
先生の机の上には、皮膚の見本のほかに、ケースに入れられたキャラクターのフィギュアがいくつも並んでいる。
「はい、どうしたの。」
「あ、あの、息子の肌荒れが治らなくて…」
「ふうん。」ぱっ!と息子の顔や体の発疹を見ると、
「今、何使ってる?」
「え、あ、これを重ね塗りしているんですけど繰り返してしまって…」
「あー!ダメダメ。こんなチューブの薬を毎日塗ってたら治らないよ。」
とバッサリ
ええ?!
頭が真っ白になった。私は、この2年間、ずっと努力してこの薬を塗ってきたのが、間違いだったというのだろうか…
その日、今までの薬はやめて、今日から出すミックス軟膏を塗って、3日後に来なさい、ずっと塗り続けるのではなくて、必ず3日後に来なさい。
それだけ言われて、なかば放心状態で帰ってきた。
ショックだったけど、息子のアトピーが治るならなんでもやってみよう、そんな気持ちだった。
3日後、先生はまたしても、ぱ!っと皮膚を見て、じゃ、今までの薬はおしまい、次は今日出す薬を1週間やって、また来て。
それまでにひどくなったら、すぐに来て。
それだけ。
何か質問しようにも、言い置いてすぐに腰を上げてしまう、超せっかちさん、らしい。
「あ、それからね、お母さん。」
思いついたようにつけたした。
「アトピー商法ってのがあるからね、
食べ物とか、塗り薬とか…温泉水とか、とにかく、いろいろあるけどね、みんな、縋りたい気持ちがあるから引っかかっちゃうの、気をつけてね。」
「はい…」
気持ちはわかった。本当につらそうな子どもを見ていると、なんとかしてやりたいって心から思っているから。
そんな気持ちを利用する人がいるとは…
先生はいつも同じことを言っていた。
「5歳になったら治る。
この子の肌は、季節の変化に応じて変えていくのが苦手なんだ、5歳までが勝負だ。」
5歳。今は2歳だ。
なぜ、明確に5歳、と言うのだろう。
毎回、診察したらすぐに腰を浮かせてしまうので、じっくり話を聞けないまでも、少しずつ先生の方針がわかってきた。
先生が抗炎症剤を使う時は、かなり掻きこわしてひどくなった部位のみ。
しかも、3日ほどでやめる。
そして、1週間後、10日後、と徐々に減らしていき、いつもは肌荒れがあっても、保湿剤で乗り切る。
炎症止めの強い薬を使わない生活は、つらい。炎症をすぐに治めることができないから。
痒くて掻いてしまう息子に、痒いね、そうだよね、といいながら泣きたい気持ちで冷たいタオルで患部を冷やす。
これしかできないことが、苦しい。
眠っている時は、無意識に掻いているから、隣に寝て、掻いていたら冷やす。
でも、朝になってみたら掻きこわして血と滲出液が出ている日もあって、自分の力不足に落ちこむ。
そんな時、ママ友から
「どうして炎症を止める強い薬を使わないの?痒くてかわいそうじゃない。」
と言葉をかけられたことがある。
なぜ、我慢させるのか、薬があるではないか、と。素朴な疑問を口にしただけだと思う。
だけどね。
何とかできないか、と必死に方法を探っている親にとって、これは痛烈な問いかけである。
何もしていないわけじゃない。正解がわからない闇の中を、手探りで歩いているようなものだ。
自分が信じているこの道が、本当に合っているのだろうか、と不安を感じながら。
アトピーの子どもを持った親でなければわかるまい。
「そうだね、私もかわいそうだと思っているよ。でもね、今通っている先生を信じてみたいの」
そうだ、私は先生を信じたいと願っているのだ。
いろんなお医者さんにみてもらったけど、こんなに自信満々に「5歳までが勝負なんだ」と言う先生はいなかった。そして、季節の変わり目に肌のターンオーバーがついていけなくて、調子を崩す、という先生の言葉が、息子を見てきて腑に落ちるものがあった。
先生のお話では、皮膚は人間の一番最前線の防御システムだ。だから、皮膚を甘やかすことを嫌う。
あらゆる細菌から身を守り、夏は汗をかいたり、冬の乾燥から守ろうとする。
炎症を抑える薬を使えば、確かにすぐに楽になるかもしれないが、甘やかしたらそれがなければ生きられない皮膚になってしまう。大人になるまでアトピーを拗らせたら、治すのが難しいんだ、と言っていた。
だから、夏は暑い思いをし、冬は寒い思いをしろ、自分で自分を守れるようになるまで5年かかる。
と数年通った結果、途切れ途切れの毎回の診察の言葉を繋ぎ合わせると、こういうことになる。
先生はブレることがない。ひどい掻きこわしを作って、落ち込んで受診する時も、特段がっかりすることはなかったように思う。また、1から弱い抗炎症剤を少しだけ使って段階的に減量していくだけだ。
私には、これが、一進一退に思えていた。ここまで保ってきたのに、一夜にして振り出しに戻ってしまった・・と。
しかし、私が気がついていないだけで、息子の皮膚は少しずつ回復する力をつけ始めていた。
確かに季節の変わり目は、発赤が出て、かゆい。でも、去年ほどではない。そして、新しい季節に入ってから本番になる頃には、適応できるようになっている。周回遅れでも、回復させることができるようになった。
もちろん、夜間の掻きむしりの警戒は続いていたけれど。
5歳、という約束
そして、予告されていた5歳を迎える頃には、本当に見違えるほど良くなっていた。
もう、掻きむしるほどひどくなることはないし、耳が切れることもなくなった。
先生の保湿剤だけで乗り切れるまでになっていたのである。
今では、息子は何も塗っていない。普通に季節を過ごしているし、普通の化粧水も使える。
あの頃、泣き出したくなるくらい不安だった毎日が嘘のように、トラブルを起こさなくなった。
確かに5歳、だった。
治り方や合う方法は人それぞれだと思いますが、わが家はこんな経過をたどりました。
先生は、症例をたくさん見てきたから、こうなることをある程度予想はしていただろう。でも、あんなにキッパリと断言できるのも、自分の治療方法に自信があったから、なのだろう。
信じてついてきて良かった、と本当に感謝しています。
息子の肌荒れが落ち着き、しばらく通院せずに過ごしていました。
数年後、久しぶりにあの医院の前を通りかかったとき、そこは静かに閉院していました。
先生は、もういませんでした。
あの頃、あんなに不安だった日々を、
「大丈夫、5歳になったら良くなる」と言い切ってくれた先生。
あの言葉を信じて過ごした時間は、
私にとっても、息子にとっても、大切な時間でした。
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