息子からの深夜の電話|就活と恋愛に揺れる夜、母が思ったこと

※この記事では、家族との日常の中で感じた成長や想いを綴っています。

深夜に「起きてる?」と息子からラインが入った。

「起きてるよ」

「今、帰り道なんだけどさ。帰ったら電話していいかな」

進学のために家を出て3年。こんなことは初めてだった。

就活と実験の毎日が続く。地方大学進学者は、その両立が難しいのだそうだ。特に、実家のある関東へ就職しようとすると。

数ヶ月前は、関西で就職すると言っていた。就職する地域がどこであっても、一度家を出たのだから、帰ってこないだろうし、それならどこに住んでも同じだな、と思っていた。

簡単に会えないのは、やはりさみしいけれども。

 

「どうしたの、関西って言ってたよね?」

「いやぁ、やっぱり関東がいいかなって。魚は好きだけど、それに絞るとすごく狭まっちゃうんだよ。

だから、ITとかさ、いろいろ考えてる。」

(IT?全然畑違うけど・・・?少し、迷ってるのかな…?)

どうやら、新しい彼女ができてうまくいっているらしかったので、最初は楽しい話なのかと思っていた。

洗濯の流儀だったり、調味料のキャップだったり、一緒にいればいろんな軋轢がある。前の彼女と喧嘩しちゃったから、彼女の洗濯の流儀を聞いてメモしてるって涙ぐましい努力・・・

そうやって、最初から気を使ってさ、衝突しないように工夫してるんだね、成長してるじゃん。

まぁね。ケンカするの、うざかったからさ。

とちょっと照れたように言う。

だけど、就活が本格化する中で、ウキウキもしていられないらしい。就職する地域が彼女と離れてしまって、物理的な距離ができてしまったら、きっと別れることになるんじゃないか、終わりが見えたら冷めてしまうかもしれない。といつになく、元気のない声だった。

「別れるの、しんどいんだよ。」

そうだよね、いつも全力だから、しんどいんだよね。

若いってキラキラしてて素敵だけど、楽しいだけじゃない。むしろ、今よりずっとしんどい。

人との親密な関係を築いていくことが課題の世代だけあって、ぶつかり合ってわかりあえる喜びもあるけど、傷つくこともある。本気であればあるほど、つらい。

息子は少しだけ守りに偏っている気がした。

彼女が、前の彼氏を振ったのが、好きだけど結婚はできない人だと思ったから、と言っていたのも影響しているらしかった。

俺は幸せなんだなー

急にそんなことを言う。

「お母さんとか、うちの家族たちは、お金じゃないよ、好きな仕事をしたらいいよって言ってくれるけどさ。

世の中、そんな人ばかりじゃないからさ。お金はあったほうがいいし。

彼女が納得してついて行きたいって思うような就職ができないとって思う。」

納得するってなんだろう。いわゆる世間が「すごい」と褒める大企業のこと?年収が高いこと?

「私はね、どんな会社に就職したって文句なんてないよ。ただね、知名度とか年収を基準に仕事を決めるのはどうだろうね、お金がいいからと言っても、興味ない仕事を8時間もやるなんてつらくないかね?

クオリティ オブ ライフも考えたほうがいいと思うけど・・・

自分がこの仕事がしてみたい、この人たちと働いてみたいって思えるものが見つかったんだったらさ、人がなんと言おうといいじゃないの、君はいいものがいっぱいあるんだから、楽しく仕事していたらついて行きたいって思うんじゃないの?」

お母さんはそう言ってくれるけどね、を繰り返していた。自分が何をやりたいのか、見えてこなくて、収入のいい違う畑に就職していく先輩を見ているとグラグラしてしまうのだろう。

そう簡単に見つからないんだよー

弱音を吐いているな・・・笑

「そうだよ。簡単に見つからなくて、みんな悩んでいるんだし、最初から見つかる人も少ないよ。

でもいいんだ、今は考える時なんだ。よぅく、考える時なんだよ。」

「うん・・・なんか、お母さんと話をしたら元気出てきた。俺、頑張ってみるよ。」

「そう?まぁ、無理しないようにね、よく考えてね。

大学は卒業してさ。こっちを宿にして就活してもいいし。まぁ、あんまり悩まなくたって、うまくいかなくたって、時間はたっぷりあるから、大丈夫なんだよ。」

あまり、頑張ってというワードを使いたくなかった。十分頑張ってる。

だけど、迷って疲れてる。

少し理想論を言ってしまった気がしたが、年収に偏りすぎるのはやっぱり良くないと思った。

あの子は、器用な方ではないから・・・

笑顔が消えないでほしい。

あの子の持っている、人にはない特別なもの。それに目を向けて大切にしてもらいたい、そう願っている。

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