📖この記事は、私の再出発ノートシリーズです。最初から読む方はこちらから→40代で看護学校に入ったシングルマザー
初めての夏休み直前、突然の課題
「実習室集合!」
号令がかかった。
筆記用具を引っ掴んで移動!
遅刻したら…おわかりですね?笑
ベッドには、患者役の先生が寝ていた。
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謎かけのような課題
この状況を観察して、気がつくことをあげ、何をすべきか考えなさい。
それが、夏休みの課題だった。
え?……
病院のベッドに先生が寝ているだけ。
時々、咳をしている。
頭はぐしゃぐしゃ、使ったらしいティッシュが丸まって床にいくつも落ちている。
枕はとんでもない方向へ。
…だから何なの?
ポカーン……。
またしても「謎かけ」が始まった、と思った。もっと、技術とか、理論とか、教えてほしいのに・・・。と
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当時は理解できなかった
咳をしているから呼吸器の病気?
薬もないし、何をすればいいの?
枕がずれてる理由なんて知らない。
ティッシュは拾えってこと?
その先は?
…。
結局、誰も「クリティカルヒット」を飛ばす学生はいなかった。
ひと夏考えても、はっきりした答えは出ないまま。
先生から模範解答も提示されなかった。
ええー!答えがないの…?
嘘でしょう…。
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今ならわかる先生の意図
あれから年月が経って、ようやく少しわかった。
看護に模範解答などないということ。
先生はいつも、「その人を全部見なさい」と言っていた。
病気になって入院している姿は、その人のほんの一部。
どんなふうに生きてきて、家族はどんな人で、どんな仕事や考えを持っているのか。
人間をすべて理解することはほぼ不可能。
でも、わかろうと努力する――それこそが看護の真髄だと、今は思う。
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もしあの場面でできることがあるなら
課題は架空の想定だから、すべてを読み取ることはできないけれど――
• 咳で苦しいならベッドを少し上げ、枕を直す
• 髪が乱れていたら、調子のいい時に洗髪して整える
• ゴミ箱の位置を変えて捨てやすくする
• 飲み物を提供する
• 汗をかいていたら、清拭や着替えを手伝う
こんなふうに考えることはできる。
⸻
原点を忘れない
何もできなくても、
教科書に載っていない看護を必死に考え、絞り出す――
その過程こそが課題だったのかもしれない。
卒業して働くようになってからも、忙しさの中でふと、この原点が蘇る瞬間がある。
どんな高度な医療技術よりも、
私はこの原点を、ずっと大切にしていきたい。
今日も読んでくださって、ありがとうございます。
誰かのお役に立てたら嬉しいです。コメントもぜひよろしくお願いします。
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