清拭は、ただ体を拭くだけの作業ではありません。
看護学校の実習で、不便な器具を使いながら試行錯誤したからこそ、清拭には羞恥心や保温への配慮、そして回復を支える意味があることを学びました。
📖「教えてくれない授業」の体験は、こちらの記事でも書いています。👉 私の再出発ノート⑥ 清拭の授業から学んだこと
今回は続きとして、実習での工夫、臨床で感じたギャップ、そして清拭が持つ「看護の本質」について振り返ります。
古くて不便な環境での演習
看護学校の実習室はとにかく設備や器具が古かった。昭和からタイムスリップしてきたよう。
昔、保健室や古い診療所で見かけた「万能壺」、布製のガウン、セッシ立てやピッチャー(お湯を入れて運ぶ入れ物)など。学校で習う技術は、臨床とはかけ離れている。最初は、どうしてこんなに古い器具を使って、演習をするのだろうと思っていました。
試行錯誤を重ねた日々
工夫をしていない清拭を実際に受ければ、すぐにわかることですが。
ベッド上で服を脱ぐのは、とても恥ずかしいことだし、温かいタオルで体を拭いた時は確かに気持ちがいいけれど、その後すぐに気化熱で寒い。ケアにはほど遠く、苦痛でさえあります。
前回の記事のように、先生は「自分たちで考えてやってみて」と教えてくれません。
- そもそも、清拭をする意味は?効果は?
- 用意するお湯の温度は何度がいいのか?
- タオルのたたみ方は?
- 冷めていくお湯を適温に保つにはどうしたらいいか?
- 気化熱への対策は?
など、一つの看護技術を行うために、教科書をはじめ、いろんな文献をひっくり返して、調べては実践を繰り返していきました。
50度以上のお湯で温タオルを作り、タオルのひだが皮膚に当たらないように手早く畳んで、適度な力で清拭していく。
皮膚の露出は最小限にとどめ、拭いた後は乾いたタオルで水滴をすぐに拭き取って保温する。
皮膚の重なり合うところや、汗が出やすい場所は、特に丁寧に行うなど、細かい配慮をしていく・・
やっと、納得のできる手技で清拭試験をパスして、臨床での実習に行ってみると。
臨床と学校の差に驚き!
業者が作ったホットタオルを保温器に入れて移動しながら、看護助手の皆さんが手早く清拭をして回っていました。
臨床では、看護師は他の業務を優先して行う必要があり、清潔ケアは看護助手が行なっているのが一般的です。そして、ケアする患者さんの数の多さ、時間の制約により、その手法は、羞恥心や保温に配慮できないことが多いのです。
確かに驚きはしましたが、学校で試行錯誤した時間を無駄だった、とは思いませんでした。
清拭は、単なる清潔ケアにとどまらず、温かなタオルでリラックスしてもらえる癒しの時間であり、皮膚の状態や精神、病状に至るまで、ケアの中で患者さんからたくさんの情報を得られる機会であることを私たちは知っているからです。
ナイチンゲールが説いた「回復過程」にもあるように、清潔や快適さは治癒を支える大切な要素です。そして、人が人にケアを行う時間そのものが、回復の力になります。
看護学校での不便な練習を通して学んだのは、
「清拭は単なる作業ではなく、患者さんの回復を支える大切な一歩」
だということでした。
今につながる看護観
臨床で働く今、あの頃のような手技で清拭を行う時間はなかなか取れません。
けれど、先生が教えてくれた原理原則を理解しているからこそ、限られた環境でも患者さんの回復を支えるケアを提供できる。
あの不便な実習で過ごした時間は、確かに今の私の看護観につながっているのです。
実習生たちが、懐かしい丁寧な清拭を患者さんに提供している姿をみると、ほっこり☺️します。
頑張ってほしいです・・・💌
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本日も読んでくださって本当に感謝しています。看護学校を目指して頑張っている方、今、頑張って実習に打ち込んでいる方々、心から応援しています!!
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